研究課題
本研究の目的は、動物・植物細胞で脂肪酸代謝等に関わり必須の単膜系オルガネラであるペルオキシソームの分裂装置を同定・単離し、それを構成する全タンパク質とその遺伝子を同定することであった。昨年度に引き続き、ペルオキシソーム分裂装置(POD machinery)の解析を行った。今回、我々はPOD machineryを構成するDB (Dynamin-based) ring(ダイナミンDnm1を含む糸状構造)とFilamentous (F) ring (Dnm1を含まない繊維構造)の2つの構造の機能解析を進めた。DB ringはF ring外周を取り巻いており、F ringから乖離したDB ringは直線形状から渦巻き状に構造変化変形した。Dnm1をアンチセンス法により発現抑制した結果、ペルオキシソーム分裂面の収縮は完全に行われなかった。従ってDB ringがPOD machineryの収縮力を発揮することが明らかになった。さらに、DB ringから発揮された収縮力によって、Fringは繊維の分解を伴いながら収縮することが明らかになった。直径100nm以下のPOD machineryではFringは完全に分解されDB ringのみが得られた。従って、分裂の最終段階では内側のF ringの分解によってDB ringに含まれるダイナミン分子がペルオキシソーム膜に直接結合し、膜のくびり切り(pinching offを行うものと考えられる。以上の結果から、ペルオキシソーム分裂にはPOD machineryによる、1) DB ringとF ringによる収縮、と2)ダイナミン様タンパク質Dnm1によるペルオキシソーム胞膜のpinching off、という二段階の収縮力発生機構があることが明らかになった。
(抄録なし)
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