研究課題/領域番号 |
12J06775
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
竹 康宏 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 三次元クロック分配 / 三次元積層 / 結合共振器 / 誘導結合 / 低スキュー / 低ジッタ / 低電力 / 実用化 |
研究概要 |
今年度は、これまでの研究成果である三次元集積回路向けクロック分配技術の「実用化」を観点に、研究ならびに講演を行った。 本研究の柱は、従来ではリピートバッファによって実現されたチップ内クロック分配を、3次元方向の結合共振によってクロック分配する点である。 結合共振は、多数の発振器を互いに連結することで、各発振器に含まれるばらつきを平均化する。1つの発振信号をリピートする従来に比べて、ばらつき耐性が強く、高速クロックが必要な高性能チップに適している。また、ばらつきが低減されるだけではなく、エネルギー効率の点でも従来方式よりも優れている。一方で、多数の発振器が結合しているため、従来の1つの発振器に用いられる周波数調律方式は、適用できない課題があった。本課題に対する解決手段として提案を行ったFL-PP周波数調律方式は産業界からも高い評価を受け、国内研究会にて招待講演を行った。 昨年度の研究成果においては、チップの積層枚数や適用できる周波数帯に対する言及を行えていなかった。この点は招待講演においても、多くの有識者から質疑や助言を頂いた。これらの点は産業界において、実用化に向けた重要な観点であり、十分に研究の余地があった。特に、三次元積層されるチップ枚数により、本提案手法に与える影響の理論確立は重要である。三次元積層に対する需要は年々高まっており、国際会議で報告される三次元積層のチップ枚数も増加傾向にあるためである。実用化を念頭に、産業界が本研究に対して持つ要望、追加研究を洗い出し、研究を遂行している。この成果は最終年度である、次年度に国際論文誌として投稿予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
会議発表は1件に留まったが、昨年度の成果に対する産業界からのフィードバックを得られる重要な機会であり、そのフィードバックを研究に反映し、研究遂行できている点で順調であると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
産業界での実用化を念頭に研究を遂行してきた本年度の成果を、対外的な成果とすることを優先する。具体的には、国際論文誌への投稿を予定している。最終年度の報告として、理論確立から実用化までを一貫する成果報告とするのが最終年度に推進すべき事項である。
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