研究課題
本実験は国際共同実験Double Choozにおいて、ニュートリノ混合角θ_13の精密測定を行うことを目的とする。混合角は質量と同じく、ニュートリノの性質を示す重要なパラメータである。近年、本実験をはじめとする原子炉ニュートリノ振動実験や加速器ニュートリノ振動実験により、θ_13が有限値を持つことが示された。有限値を持つことが明らかになった今、将来のCP非保存パラメータ測定実験に向けて、その精密測定化の意義は高まっている。本研究ではθ_13測定精度向上のために、ニュートリノフラックスとエネルギー再構成精度に由来する系統誤差の削減を目標に掲げた。採用初年度は、エネルギー再構成の改善を重点的に行い、新しい手法を開発することで系統誤差の削減に成功した。採用二年目は、ニュートリノフラックスの系統誤差を削減すべく、前置検出器の建設を行った。また同時に、後置検出器のみでの解析結果の改善に寄与してきた。最終年度にあたる昨年は、オフラインツールとデータ処理グループ責任者としてその開発管理を担当するとともに、高電圧電源装置などの残る測定装置の設置を完了した。完成した前置検出器の試運転や初期データ解析を共同研究者と協力して行い、前置検出器でのニュートリノ信号観測に成功した。また、後置検出器のみでの解析の最終結果をまとめ、論文投稿を行った。改善された解析手法と前置検出器の完成によって、目標とする精度でのθ_13測定の実現可能性が示された。二基の検出器でのデータ取得を今後も続け、必要となる統計量を得ることによって、θ_13の精密測定がまもなく達成される見通しである。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
松原綱之, Emmanuel Chauveau,「Double Chooz実験の現状と今後」高エネルギーニュース, 第33巻3号, 2014.
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 3件)
Journal of High Energy Physics
巻: 10 ページ: 032
10.1007/JHEP10(2014)032
巻: 10 ページ: 086
10.1007/JHEP10(2014)086
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A
巻: 07 ページ: 058
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