昨年度は、あかりで観測した小惑星のデータ解析とその定性的な評価を中心に行っていた。今年度は、残りの小惑星のデータ解析を行った後、主成分分析PCA (Principal Component Analysis)を用いて、あかりのデータを定量的に評価することを目標に解析を行った。小惑星のスペクトルの形状を定量的に評価することにより、小惑星が母天体とされる隕石やその中に含まれる鉱物のスペクトルとどの程度一致するか調べることができる。それを調べることにより、未だ詳細が明らかになっていない小惑星表面の鉱物や炭素質隕石の母天体の手がかりを得ることができる。 研究の具体的内容は、まず小惑星のデータをPCAを用いて解析した。次に最も全データの特徴を表しているPC1のスペクトルと最もよく合う隕石や鉱物のスペクトルを探すべく、平均二乗偏差RMS (Root Mean Square)が最小になる隕石や鉱物を探した。その結果、PC1が含水鉱物であるantigoriteのスペクトルとよく合うこと、よくスペクトルが合う小惑星と隕石の組み合わせを複数発見することができた。 また昨年度末に行ったすばる望遠鏡を用いて新たに低アルベド小惑星のデータを取得し解析した結果は、今年度中に論文を投稿する予定である。
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