研究課題/領域番号 |
12J06849
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
佐藤 丈博 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 次世代ネットワーク / 光アグリゲーション / 光アクセス / ネットワーク仮想化 / 省電力 |
研究概要 |
本研究課題では、異なるプロトコルを使用する複数の通信サービスを統合的に収容可能な次世代光アグリゲーションネットワーク技術の確立を目的とする。現在、インターネットアクセス、専用線、モバイルバックホール、データセンタ間通信などといった通信サービスは、その特性に応じた個別のアクセスネットワークを介して加入者に提供されている。本研究では、局側装置と加入者装置のプログラマブル化、および両装置間を多対多で接続するオール光ネットワークにより、前述した通信サービスを単一の物理ネットワーク上で提供する。これにより、加入者への通信サービスの適応的提供、ネットワーク全体の消費電力削減、光ネットワークの再構成によるトラヒックの集約・分散や耐障害性向上などを目指す。 平成24年度は主に本ネットワークの制御方式に関する検討を実施した。数千~数万単位の加入者からの要求をオンデマンドに反映するため、現在一般家庭向け光アクセスシステムで使用されているMulti-Point Control Protocol(MPCP)をベースとした制御プロトコルを提案した。本提案では、局側装置と加入者装置を接続する制御専用の光ツリーを設定し、加入者装置の認証、加入者から局へのサービス要求、局から加入者への帯域割り当て等を実施する。 また上記研究と同時に、光アグリゲーションネットワークのさらなる消費電力削減手法として、全体のトラヒック量に応じて局側装置の稼働数を増減する手法について提案を行った。今年度は本方式のコンセプトと動作手順を提案し、計算機シミュレーションにより消費電力削減効果の評価を行った。 以上の研究内容について論文執筆を行い、国際会議IEEE HPSR2013へ投稿を行い採録が決定した(平成25年7月発表予定)。平成24年度中に発表された成果としては、雑誌論文1本および学会発表4本(いずれも共著)がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の課題として挙げた光アグリゲーションネットワークの制御方式について提案を行い、国際会議での発表が決定したため。ただし、最終年度のプロトタイプ実装に向けて、今後さらにプロトコルの詳細を検討していく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
当初は2年目の研究課題として高精度クロック配信という課題を設定していたが、具体的なアプリケーションに着手する前に、引き続き制御プロトコルの詳細を検討する必要がある。制御光ツリー上で交換するフレームのフォーマットや、加入者からの要求やトラヒック変動に応じて局~加入者の組み合わせが変わる場合の動作手順について、仕様をまとめる必要がある。本仕様をもとに、今年度提案した光ツリーによる制御や消費電力削減手法について、研究室レベルでプロトタイプの実装を進めていく。
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