当研究室のこれまでの研究で、内因性化合物であるニトロcGMPはタンパク質分解機構の一つであるオートファジー活性能があり、細胞に感染した細菌の排除を促進することがわかっている。その詳細なメカニズムを明らかにするため、ニトロcGMPによるタンパク質修飾反応(S-グアニル化反応)とオートファジー誘導の関係性を検証した。 S-グアニル化修飾ありのタンパク質となしのタンパク質でそれぞれコートさせたラテックスビーズを細胞に取り込ませ、オートファジーによる認識の割合を、ビーズ周囲へのオートファジーのマーカータンパク質LC3の集積により検証した。結果、S-グアニル化修飾ありのタンパク質をコートさせたラテックスビーズは、修飾なしのタンパク質をコートさせたラテックズビーズよりも高い割合でオートファジーに認識されることがわかった。また、細胞に感染させた細菌の表面がS-グアニル化されることがS-グアニル化を認識する抗体を用いた免疫染色でも明らかになり、菌感染系におけるS-グアニル化とオートファジーの関係についてさらなる解明を急いでいる。 オートファジー誘導化合物は、感染症に加えてパーキンソン病や八ンチントン病等の神経疾患に対する薬として期待されている。ハンチントン病モデル細胞(ポリグルタミン発現、アグリゲート形成細胞)でも誘導体の活性を評価するために、実験系を立ち上げた。今後実験条件を整え、菌の排除能に加えてアグリゲート排除能も評価していく。
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