研究課題
8-ニトロcGMPによるオートファジー誘導メカニズムの解明を行うために行った実験と成果を述べる。[菌表面のS-グアニル化修飾とユビキチン集積の関係(成果1)]ユビキチン活性化酵素の阻害剤であるPYR-41を用いて、細胞内に感染させたA群連鎖球菌の表面へのユビキチン集積を抑制することに成功した。この時、菌表面への8-ニトロcGMPによる修飾(S-グアニル化修飾)には影響を与えないことが免疫細胞化学染色によって明らかになった。なお、8-ニトロcGMPによるS-グアニル化修飾反応を阻害するとユビキチン集積は有意に抑制されたことから、S-グアニル化修飾がユビキチン集積の引き金となることが示された。[菌表面でS-グアニル化修飾されているタンパク質の同定(成果2)]A群連鎖球菌を感染させたRAW 264.7細胞のライセートをウエスタンブロット解析し、S-グアニル化陽性タンパク質から細菌由来のタンパク質であるグリセルアルデヒド三リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)と、フルクトースビスフォスフェイトアルドラーゼの二つを同定した。本成果は成果1と合わせて、「細菌排除タグであるユビキチンがどのように細菌を認識して付加するのか」という、これまで明らかになっていなかった仕組みの解明につながる重要な成果である。[8-ニトロcGMP誘導体のオートファジー誘導能評価(成果3)]8-ニトロcGMP誘導体のオートファジー誘導能を評価するため、ハンチントン病モデル細胞を用いた実験系を立ち上げた。長さの異なるpolyQを組み込んだハンチントンタンパク質を発現するNeuro2aを入手し、ウエスタンブロット法やドットブロット法で解析を行うためのサンプル調整法を確立した。予備試験では、8-ニトロcGMPがハンチントンタンパク質量を抑制させるという結果が得られている。さらに細菌感染系では、ある8-ニトロcGMP誘導体は細菌排除に有効ではない結果が得られた。本成果は、今後オートファジー誘導効果のある8-ニトロcGMP誘導体を設計する際に重大な知見となる。
(抄録なし)
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Molecular Cell
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ChemBioChem
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