研究課題/領域番号 |
12J06877
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田中 雄一郎 東京大学, 大学院数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | リー群 / 無重複表現 / 可視的作用 / カルタン分解 |
研究概要 |
今年度は、とりわけ直交群の無重複表現の幾何学に注目して研究し、全ての無重複テンソル積表現に対して、小林俊行氏による複素多様体への可視的な作用の理論の観点からの解釈を与えた。 まず一般的な設定において、小林氏によって証明された無重複性の伝播定理をもちいることにより、リー群の複雑で大きな(一般には無限次元で有りうる)表現の無重複性を、そのリー群の複素多様体への作用の強可視性及び、より小さなリー群の小さく単純な表現の無重複性へと帰着することができる。 私は突際に、直交群の全ての無重複テンソル積表現に対して、それを実現するような一般旗多様体への強可視的作用と「小さな」無重複表現との組を見つけ、表現の無重複性の複素幾何学的な説明を得た。ここで、一般旗多様体への作用の強可視性は、コンパクトリー群に対する一般化カルタン分解の存在から従っている。 これで特に、D型の単純コンパクトリー群に対しては可視的な作用の理論によるテンソル積表現の無重複性の幾何学的解釈を得たので、これに引き続き、私が(無重複テンソル積表現を考えるうえで)D型群と双対的な関係にあると考えているC型群に対しても同様な幾何学的解釈を与えることで、研究の目的である双対性の解明へと近づくことができるものと期待される。 また, 無限次元の空間については昨年度と同様、アファイングラスマン多様体や主G束のモジュライ空間等を扱う、幾何学的ラングランズ対応の勉強を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度の研究によってD型群の無重複テンソル積表現の幾何学は捉えることができたが、転置という操作の幾何学的意味は未だ分からないため。また無限次元の空間も, 現状では上手く扱うことができていない。
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今後の研究の推進方策 |
組み合わせ的手法や解析的手法を取り入れながら、引き続きリー群の無重複表現の幾何学をカルタン分解の一般化を用いて研究する。
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