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2013 年度 実績報告書

細胞感染によるオートファジーと細胞死の生理機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 12J06919
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

相川 知宏  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 特別研究員(PD)

キーワードオートファジー / 細胞死 / 細菌感染 / A群レンサ球菌
研究概要

細胞内で誘導されるオートファジーと細胞死は, 互いにその活性を綿密に制御することで, 生体の恒常性維持や疾患の発現に寄与している. 当該研究においては, 細菌感染時のオートファジーと細胞死の双方の誘導に関わる分子として, 細胞死制御因子であるBc1ファミリー分子群に着目し解析を行った.
細胞死の抑制に携わるBc1-2の強発現細胞においては, 栄養飢餓型オートファジーの誘導に必須なBeclin1にBc1-2が競合的に結合することで, オートファジーの誘導が抑制されることが報告されている. しかし, 本研究ではBc1-2の強発現により, A群レンサ球菌感染による細胞死の誘導は抑制されたが, オートファジーの誘導は抑制されなかった. Baclin1欠損細胞においては, 本菌感染によるオートファジーの誘導に影響がないことが確認された. このことから, Beclin1-Bc1-2 complexを介したオートファジーの制御機構はA群レンサ球菌感染状態では機能していないことが考えられた.
一方, Bc1-2と同じ細胞死抑制因子であるBc1-xL, Bc1-wよびBc12A1の強発現細胞では, 細胞死とオートファジーの両者が抑制された. また, オートファジーの抑制に伴い, これらの細胞内では本菌の分解も抑制され, 本菌の細胞内生存数は顕著に増加した. 細胞質内の活性酸素種(ROS)産生の増加がオートファジーの誘導を促進することが報告されているが, Bc1-xL, Bc1-wよびBc12A1強発現細胞において, さらなるROS産生の抑制/増加は認められなかった. これら3つのBc1ファミリータンパク質とオートファジー関連タンパク質(Atgタンパク質)の相互作用を免疫沈降法あるいはプルダウンアッセイを用いて解析したところ, Bc1-wとAtg7が細胞内で直接結合することが明らかとなった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

筆頭著者としての論文掲載こそならなかったものの, 自身の成果の一部は下記の日本細菌学会で発表することができた. 現在の進めている実験の結果次第ではインパクトある成果を発信できると考えている.

今後の研究の推進方策

これまで行ってきた一過性の強発現系およびノックダウン系の実験では, 細胞の量や状態によって実験結果にバラツキが見られることがあった. そのことから, 恒常的に強発現ならびにノックダウンさせた細胞株の構築を行っている. 先に記述したオートファジーと細胞死の両者を制御すると考えられる因子については, これらの系の他に, CRISPR-Cas systemを応用したゲノムエディティングによってノックアウト株を作製し, 追試ならびに, 両細胞応答の制御メカニズムの詳細を解析する予定である.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Endogenous nitrated nucleotide is a key mediator of autophagy and innate defense against bacteria.2013

    • 著者名/発表者名
      Ito C, Saito Y, Nozawa T, Fujii S, Sawa T, Inoue H, Matsunaga T, Khan S, Akashi S, Hashimo to R, Aikawa C, Takahashi E, Sagara H, Komatsu M, Tanaka K, Akaike T, Nakagawa I, Arimoto H.
    • 雑誌名

      Molecular Cell

      巻: VOL.52 ページ: 794-804

    • DOI

      10.1016/j.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] CRISPR regulation of intraspecies diversification by limiting IS transposition and intercellular recombination.2013

    • 著者名/発表者名
      Watanabe T, Nozawa T, Aikawa C, Amano A, Maruyama F, NakaRawa I.
    • 雑誌名

      Genome Biology and Evolution

      巻: VOL.5 ページ: 1099-1114

    • DOI

      10.1093/gbe/evtO75.

    • 査読あり
  • [学会発表] 発現解析に基づいた選択的オートファジーに対抗するA群レンサ球菌遺伝子の同定2014

    • 著者名/発表者名
      相川知宏, 野澤孝志, 郷田瑛, 丸山史人, 中川一路
    • 学会等名
      第87回日本細菌学会総会
    • 発表場所
      タワーホール船堀(東京都江戸川区)
    • 年月日
      20140326-28
    • 招待講演
  • [備考] 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 細菌感染制御学分野ホームページ

    • URL

      http://www.tmd.ac.jp/grad/bac/

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公開日: 2015-07-15  

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