研究課題/領域番号 |
12J06990
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
西村 君平 広島大学, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 研究評価 / 競争的資金配分 / 科学論 |
研究概要 |
本研究の目的は、日米における競争的資金の評価の比較を通して、競争的資金の評価の構造的特徴を解明し、それに根ざしたメタ評価枠組を開発することである。本年度は(1)既存のメタ評価枠組みの理論的検討:社会的背景、認識論的基盤、理論の整合性などの検討、(2)日本・米国の実態調査:資金配分母体(学術振興会やNSF等)の公表資料の検討とインタビューを行った。 理論的検討の結果は投稿論文「研究評価の研究動向」(『大学論集』44集)にまとめた。執筆にあたっては、予定されていた評価論に関する文献のみならず、科学社会学や科学哲学といった広範な領域を扱かった。当該の論文は、研究評価に関する分野横断的なレビューを行った、国内最初の論文と思われる。また国際的にもそのようなレビュー論文は管見の限り見当たらない。 執筆にあたって、国内外の膨大な著作を集める必要が発生し、物品費により多数の文献を購入した。また購入以外にも他大学等から書籍を貸借したり、古い論文を収集した。貸借・収集した文献は電子化し、PC・HDDに保存した。 当該年度後半からは、理論的検討を踏まえて、仮説の経験的検証を始めている。もっぱら政策文書のレビューとインタビューを実施しているが、データ集収と整理のための機材として、ICレコーダーとデータ分析ソフトを購入した。インタビューの結果はPC・HDDに保存している。本年度からは日本のみならずアメリカへの調査を行い、日米比較を行う予定である。日米比較に際して仕様すべき機材などは全て用意してあるため、本年度は効率的に経験的検証が可能となりそうである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画では、既存のメタ評価枠組みを理論的に検討する予定であったが、本年度は既存のメタ評価枠組みに留まらず、その背後にある科学論的仮定についても分析したため、理論的検討の射程が予定よりも広がったため、予想以上に時間がとられたから。
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今後の研究の推進方策 |
現在(24年度末)、日本・米国の実態調査:資金配分母体(学術振興会やNSF等)の公表資料の検討とインタビューの結果を論文にまとめている。研究の進捗が遅れている以外には、研究計画の変更や研究遂行上での予想外の問題は取り立てて発生していない。そのため今後の推進方策としては、計画に沿い、研究のスピードを上げて、研究に従事する必要がある。申請者の所属する高等教育開発センターでは、D3の学生には研究以外の仕事の負担を減らし、可能な限り研究に専念させるような体制を整える伝統があるため、本年度はこの与えられた環境を活かして、研究に専心する予定である。
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