研究概要 |
平成24年度は,運動時の眼底血流応答や,その調節メカニズムを明らかにするための実験,論文執筆および学会発表を中心とした研究活動を行った. 運動時の眼底血流応答に環境温が及ぼす影響を明らかにするために,暑熱環境下における高強度運動時の眼底血流応答を検討する実験を行った.本実験の結果は,Applied Journal of Physiology,Nutrition,Metabolismに投稿中である. 暑熱環境における運動時の眼底血流は有意に低下することが明らかとなったが,この低下は,暑熱における昇圧の抑制や動脈血CO濃度(PaCO2)の低下等,の要因によるものと考えられる.眼底循環への暑熱単独の影響を明らかにするために,安静時における暑熱ストレスが眼底血流に及ぼす影響を検討する実験を行った.本実験の結果は, Experimental Biology,2012,SanDiegoにてポスター発表を行った.現在,論文を執筆中である. 眼底循環には,血圧の変動に対して血流を一定に保とうとする機序(自動能)が存在することが示唆されているが,短期的な血圧変化に対する自動能の役割は明らかでない.運動時の眼底血流調節に,自動能は重要な要因として挙げられるため,血圧変化に対する眼底血流応答を検討することによって自動能を評価する実験を行った.本実験の結果は,第90回日本生理学会大会,東京にてポスター発表を行った,現在,Microvascular Researchに投稿中である. 2011年に行った疲労困憊に至る高強度運動が眼底循環に及ぼす影響についての論文がEuropean Journal of Applied Physiologyに受理された(申請者は第一著者).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2セットの実験を完了させており,論文1編が受理され,2編を投稿するなど,期待以上の研究の進捗であった.特にこれまで確認されていなかった自動能については,研究方法の確認から開始して,安定したデータを取ることができた.その内容については,これまでの理解を変えるような成果を上げた.
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今後の研究の推進方策 |
現在執筆中の論文をまとめ上げ,今年度中に雑誌への投稿する.また,眼底血流の視覚機能への貢献度を検討する実験を5月までに終了させ,今年度中に雑誌へ投稿する.これまでの研究成果をまとめ上げ,博士論文の執筆を進めていく.
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