研究課題
本研究は、マメ科植物の根粒数制御機構が非根粒菌Aureimonas sp. AU20に与える影響の解明を目的とする。昨年度の成果から、AU20株は葉の維管束周辺に生息できる稀有な内生細菌(エンドファイト)であり、その結果、葉の維管束周辺でシグナル交換が行われる根粒制御系の影響を受けることが示唆された。そこで本年度は、AU20株が特殊な生息場所を示す理由を明らかにするために、本株のゲノムを解析した。1. AU20株の全ゲノム塩基配列の決定次世代シーケンサーおよびサンガー法を用いた配列解析により、AU20株の全ゲノム塩基配列を決定した。その結果、AU20株は主染色体だけでなく、rrnオペロンの座乗する第二染色体をもつことが明らかとなった。さらに、サザンハイブリダイゼーションの結果から、ゲノム中に多コピーのrrnオペロンが存在することが示唆された。2. 第二染色体のコピー数の定量第二染色体のコピー数を調べるために、定量PCR系を作成した。結果として、ゲノム中に常時約10-30コピーの第二染色体が存在することが明らかとなった。一般に、細菌は1-15コピーのrrnオペロンをもち、コピー数が多いほど急激な環境変化に適応できると考えられている。以上から、AU20株は多コピーのrrnオペロンをもつことで他の細菌が生息できないようなストレス下(葉の維管束周辺)で生息することが可能となり、その結果、葉の維管束周辺で根粒数制御機構の影響を受けたと考察している。
(抄録なし)
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Microbes and Environments
巻: 28 ページ: 487-490
10.1264/jsme2.ME13049