研究概要 |
本年度は,ナトリウムイオンの高容量貯蔵が可能な新規電池電極活物質の探索を目的として,ナノ構造が明確に規定された規則性多孔質炭素材料(メソポーラスカーボン,単層カーボンナノチューブ,C60内包単層カーボンナノチューブ,膨張化黒鉛)の合成と電気化学測定を行った。 規則性多孔質炭素材料を作用極,金属ナトリウムを対極,0.5M NaC104/PCを電解液とした二極式セルを構築し,定電流充放電測定によってナトリウムイオン貯蔵特性の評価を行ったところ,本年度の検討対象とした多孔質炭素材料の充放電曲線の形状は互いに類似しており,100~150mAh/gの可逆容量を示すことを確認した。ここでこれらの充放電曲線の形状は,従来から知られているハードカーボン系の材料のものとは大きく異なるものであった。この違いについては次年度の研究で明らかにする予定である。 更に次年度以降に予定しているX線回折実験によるナトリウム貯蔵サイトの解明に使用するため,規則性多孔質炭素材料のX線回折を利用した構造解析法の開発を行った。本年度は二次元六方晶状に細孔が規則配列したメソポーラス材料について注目し,回折パターンの理論的な導出を行った。さらに導出したXRDパターンの妥当性について検討するため,さまざまな種類のメソポーラス材料を実際に合成し,実測パターンと理論プロファイルとの比較を行った。 本研究で導出した理論パターンは実測パターンの特徴を良く再現しており,ピークプロファイルの詳細な分析を行う事で細孔の配列周期や細孔サイズを精度よく見積もれることを確認した。さらにピーク強度比の解析を注意深く行う事で,細孔サイズの分布や細孔間の骨格密度に関する情報が得られることが明らかになった。
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