研究課題/領域番号 |
12J07076
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
村上 義明 九州大学, 人文科学研究院, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 岡西惟中 / 注釈 / 和漢朗詠集 / 和漢朗詠集註 / 北村季吟 / 和漢朗詠集諺解 / 和漢朗詠諺解 / 日本文学 |
研究概要 |
江戸時代前期の談林俳諧師として知られる岡西惟中には、3点の古典文学作品への注釈書がある。その中の一つに『和漢朗詠諺解』(元禄6年<1693>刊)がある。これは北村季吟『和漢朗詠集註』(寛文11年<1671>刊)の次に刊行された『和漢朗詠集』注釈書である。本年度は、『和漢朗詠集諺解』を詳細に研究し、研究発表を行った。 私は特別研究員DC1の1年目(平成25年度)に、江戸時代において刊行された和(和歌)と漢(詩文)双方の注を備えた、初の刊本であるところの、北村季吟『和漢朗詠集註』研究を行い、中世までの注釈書を踏襲しただけのものという評価を与えられていた当書が、実は注者・季吟による独自の注が多数ほどこされたものであることを明らかにした。このことは、村上義明「北村季吟『和漢朗詠集註』考―その注釈態度と出版意義」(「語文研究」114号、2012年12月)に詳述している。上記の研究成果を踏まえ、北村季吟の次に刊行された岡西惟中『和漢朗詠諺解』と北村季吟の注釈を比較した。これにより、惟中の注釈が、季吟のものをベースとしたものであること、しかしそのまま引用したものというのではなく、惟中により多数の手が加えられたものであること、それは和歌注よりは詩文注に顕著であること、そしてその注釈のスタイルを明らかにし、加えて惟中の季吟に対する意識についても言及した。これらは第36回古典研究会(2014年3月27日)において「江戸前期刊行『和漢朗詠集』注釈書二書の比較―注釈内容と注釈史における位置づけ―」と題して口頭発表を行った。この成果は、平成26年度に論文として発表する。本研究は、日本文学における『和漢朗詠集』受容の研究にとどまらず、俳諧師としての側面にスポットのあてられることの多い岡西惟中研究にも応用・発展させることができるだろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目は、岡西惟中の『和漢朗詠集』注釈書研究を主とした研究テーマとして定めており、その成果を第36回古典研究会にて「江戸前期刊行『和漢朗詠集』注釈書二書の比較―注釈内容と注釈史における位置づけ―」として口頭発表することができたためである(2014年3月27日)。また『和漢朗詠集』版本の諸本研究のための調査も順調に進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、江戸時代中期の高井蘭山、後期の山崎美成の『和漢朗詠集』注釈書を研究し、江戸時代における注釈書を切り口とした『和漢朗詠集』受容史を明らかにする。また、『和漢朗詠集』版本諸本研究のための調査も継続して行う。
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