本年度は前年度の研究内容を発展させ、今後他の地球型惑星のレオロジー層構造に応用するため、そして、より現実に近いモデルでテクトニクスを考察するために、以下の研究を実施した。 ① 実験の力学データを基に、今まで無かった斜長石のパイエルスメカニズムのパラメータを求め、流動則を決定した。 これによって、より現実に近い金星の内部のレオロジー層構造や、他の地球型惑星の内部にも応用できるように、地殻の比較的低温側(<1000℃)でのレオロジーの考察が可能となった。この流動則を求めることで、惑星内部の歪速度、温度、圧力に外挿することができる。 ② 前年度は1次元のシミュレーションをすることで、金星のプレート内の変形を考察したが、今年度は、それをさらに発展させ2次元の対流シミュレーションを行った。その際使用された金星内部のレオロジーモデルは上記のパイエルスメカニズムも含めた流動則によってレオロジーモデルを計算した。 これまでにパイエルスメカニズムを含めて2次元のモデリングを行った先行研究は無かった。そしてより現実的なシミュレーションでも地殻とマントルに強度差がある場合、マントルと地殻がデカップリングを起こし、金星では地球のような沈み込みプロセス(プレートテクトニクス)が起きない事がわかった。これは地球と金星の生命を含めた惑星の進化を分ける1つの要因と考えられる。 ③ 2次元のシミュレーション以外の部分は論文としてまとめられ、Scientific Reportsに掲載されました。2次元のシミュレーションも論文執筆中であり、近々投稿予定である。
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