研究課題/領域番号 |
12J07169
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
小泉 喜典 東京理科大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 事故予防 / 傷害予測 / ノーマル行動 / 頭蓋骨片の力学特性値 / 行動センシング / インパクトバイオメカニクス / 子ども |
研究概要 |
研究目的 : 様々な環境に適用可能な不慮の事故の予測手法への拡張を目指し、ノーマル行動の状態空間モデルを用いた裂傷発生事故の予測手法の確立を目的とする。具体的には、環境が持つ特徴(形状、機能、配置など)を変数としたノーマル行動の状態空間モデルと、傷害発生メカニズムの解明による傷害の発生を再現するシミュレーション手法を開発する。これらを統合することで、日常生活環境下における傷害発生事故の予測手法を確立する。 研究意義 : 本研究によって確立するノーマル行動の状態空間モデルを用いた傷害発生事故の予測手法を用いることで、従来、勘や経験に頼っていた事故の予測を様々な環境に対して、科学的かつ定量的に行うことができるようになる。これにより、戦略的・効果的・きめ細かかつ具体的な事故予防策を考案可能になる。 研究成果 : 当初の研究計画とは異なり、環境が持つ特徴(形状、機能、配置など)を変数としたノーマル行動の状態空間モデルを利用しなかったが、最終目標である「日常生活下の傷害発生事故の予測手法の確立」が成された。また、身体の表面・内部の物理現象とそれによって生じる傷害の関係性を明らかにし, 計算機上で傷害を模擬可能な生体力学モデルを用いた傷害シミュレーションを構築した。モデル構築にあたり、法医学鑑定に力学特性を調べる工学的計測器を導入することで、解剖時に生体組織の力学特性データを得る、生体力学試験システムを開発した。実際に司法解剖へ開発したシステムを導入し、頭蓋骨片の力学特性値の計測を行い、世界的にも貴重な0歳から3歳の子どもの頭蓋骨の力学特性値を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画とは異なるが、最終目標である「日常生活下の傷害発生事故の予測手法の確立」が成された。また、計算機上で傷害を模擬可能な生体力学モデルを用いた傷害シミュレーションを構築するために、頭蓋骨片の力学特性値の計測を行い、世界的にも貴重な0歳から3歳の子どもの頭蓋骨の力学特性値を得ることができた。このことは、死因同定支援への期待力、ら、工学だけでなく法医学の分野でも高い評価を受けている。以上の業績から、研究計画の内容が着実に実施されており、期待通り研究が進展したものと判断する。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの研究では、子どもの行動として、環境内や製品の周囲での移動に着目してきた。より、戦略的・効果的・きめ細かかつ具体的な事故予防策を考案可能にするために、モーションキャプチャーを導入するなど、子どもの姿勢にまで着目した行動モデルを構築する。 計算機上で裂傷を模擬可能な生体力学モデルを構築するには、頭蓋骨の力学特性値に加え、皮膚の力学特性値も得る必要がある。現在までに構築した生体力学モデルでは、仮に豚の皮膚の力学特性値を用いている。この豚の皮膚の力学特性値は、皮膚の力学特性試験システム開発の例題として取得したものである。今後、頭蓋骨の力学特性試験システムと同様に皮膚の力学特性試験システムも司法解剖に導入し、人間の皮膚の力学特性値を取得する予定である。
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