研究概要 |
本研究は、カンボジア西部森林地域カルダモン山脈各地の慣習的指導者たちが、現代カンボジアの社会変化のなかで、地域社会の生活、慣習の維持・適応・再興に果たす役割の課題と可能性の解明を目的とする。具体課題では、(1)先住民運動の全国ネットワークと地元活動の関係性、(2)地域社会に影響を与える政策や外部アクターと住民の関係、(3)慣習的指導者の影響力と社会的承認をめぐる過程、(4)地域の問題対応における慣習制度と公的制度の関係、(5)地域間の歴史的交流の実態と再編の動きを検討する。 今年度は、課題(1)、(2)、(4)、(5)に関して、平成24年6月17日、第22回日本熱帯生態学会にて、「カンボジア西部の保護区における慣習的資源利用の課題と対応―カルダモンの森の地図作成の過程からの検討」の題目で口頭発表を行った。 また、Mapping Historical Change of Cardamom Forest Distribution in Cambodiaと題した記事を、カンボジアの現地ニュースレターCambodia NTFP Working Group News Letter, Forest, People and NTFPs No 09 January-June, 2012にて出版した。 さらに、課題(3)、(4)について、英語論文の草稿を現地関係者と協議・承諾を得て、国際ジャーナルWorldviews : Global Religions, Culture, and Ecologyに投稿した。 加えて、2013年1月5日~3月30日にカンボジアに渡航、近年の土地政策の森林の利用慣習への影響、および先住民共有地登記の過程について聞き取り調査、文献収集を行った。
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