研究課題/領域番号 |
12J07231
|
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
倉田 里穂 東京理科大学, 生命医科学研究所, 特別研究員(PD)
|
キーワード | ベーチェット病 / TRIM39 / 1型インターフェロ / マイクロアレイ / キメラタンパク質 / オントロジー解析 / 機能解析 |
研究概要 |
本年度は、大規模な日本人ベーチェット病患者検体を用いた遺伝子関連解析より、新規感受性遺伝子として同定したTRIM39における機能解析を行った。TRIM39は、隣接するRPP21とのインタージェニックスプライシングにより、キメラタンパク質(TRIM39R)を作ることがわかってきた。我々の同定したTRIM39上のSNPとRPP21上のSNPsの1つが強い連鎖不平衡にあり、どちらの遺伝子が真の感受性遺伝子であるのか、判別できなかった。TRIM39、TRIM39RおよびRPP21は、いずれも機能未知分子であったので、HEK293T培養細胞を用いた過剰発現系をそれぞれの遺伝子について樹立し、マイクロアレイによる網羅的な遺伝子発現解析を行った。有意に発現量が変化した遺伝子群を用いた、遺伝子オントロジー解析により、生物学的意義を検討した。その結果、驚くべきことに、TRIM39でもRPP21でもなく、キメラタンパク質であるTRIM39Rのみが有意に1型インターフェロンやそれに付随する細菌やウイルス感染応答に関与する遺伝子群を制御していることが明らかとなった。ここまでの研究成果は、国際的な学術誌(Biochem. Biophys. Res. Commun.)に公表することができた。また、国際会議(The 15^<th> International Congress of Immunology)や国内学会(第36回日本分子生物学会)で研究成果を発表することもできた。 CAGプロモーターを用いてヒトTRIM39Rのトランスジェニックマウスの作製を試みたが、四肢の関節と尾部に鬱血を呈し、出生直後に死亡した。現在、プロモーターを変更して再度トランスジェニックマウスの作製を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画を立てた時には予想できなかった研究結果が出たため、当初の計画通りに研究を遂行できていない。しかしながら、TRIM分子における新しい概念を発見し、よりインパクトの高い研究が行えている。
|
今後の研究の推進方策 |
CAGプロモーターを用いてヒトTRIM39Rのトランスジェニックマウスの作製を試みたが、四肢の関節と尾部に鬱血を呈し、出生直後に死亡した。これは、研究計画を立てた時には予想できなかった結果である。しかしながら、TRIM39Rが間接部で何らかの機能を示している可能性が多いに考えられる。現在、プロモーターを変更して再度トランスジェニックマウスの作製を行っている。
|