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2012 年度 実績報告書

植物19Sプロテアソームによるヒストン修飾を介した環境応答制御機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 12J07285
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

佐古 香織  独立行政法人理化学研究所, 植物ゲノム発現研究チーム, 特別研究員(PD)

キーワード26Sプロテアソーム / シロイヌナズナ / エピジェネティック
研究概要

本研究は,植物プロテアソームによるピストン修飾機構の解明を通し,植物の新規環境応答機構の解明を目指すものである。近年,植物は環境ストレスに対し,ピストン修飾によるクロマチン構造変換によって遺伝子発現を変化させ,適応していることが明らかになってきた。一方,プロテアソームは,能動的タンパク質分解によって様々な生命現象を制御するタンパク質複合体である。これまでの申請者の研究から,シロイヌナズナ19Sプロテアソームが,エピジェネティックな遺伝子発現制御に関与することが明らかになった。本研究では,植物プロテアソームによるエピジェネティック制御の分子メカニズムの解明を目的として研究を実施する。
当該年度は植物19Sプロテアソームによるピストン修飾制御機構を明らかとするために,逆遺伝学的解析および生化学的解析を実施した。これまでに19SプロテアソームがDNAメチル化を制御することを明らかにしているが,DNAメチル化はH3K4トリメチル化と拮抗的に働くことが示唆されている。さらに,酵母や動物において,プロテアソームがピストン修飾制御に関与する可能性が示唆されている。しかし,その詳しいメカニズムはわかっていない。本研究では,プロテアソームによるピストン修飾制御機構を明らかとするために,プロテアソームサブユニットRPT2aの相互作用因子を探索した。その結果,メチル化CpG結合タンパク質MBD1を同定した。MBD1の機能を明らかとするために,生化学的な解析を行った結果,MBD1はピストンへの結合能をもつことを明らかにした。さらに,逆遺伝学的解析を行ったところ,MBD1欠損変異体は,RPT2a欠損変異体同様に,糖ストレスに対して高感受性となることが示された。これらの結果から,プロテアソームがMBD1を介して,ピストン修飾制御に機能し,糖応答時の遺伝子発現制御に関与する可能性が予測できた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当該年度は計画していた遺伝学的解析と生化学的解析を行い,次年度につながる成果が得られたため。

今後の研究の推進方策

今後は,植物プロテアソームによるピストン修飾制御機構を明らかとするために,rpt2a変異体およびmbd1変異体を用いたマイクロアレイ解析を行い,プロテアソームによって遺伝子発現制御を受ける遺伝子の同定を試みる。また標的遺伝子を同定後は,その遺伝子のピストン修飾状態について検討を行う。
さらに,MBD1の機能を解析するために,ノックアウト変異体のみならず,過剰発現変異体を作製し,遺伝学的,生化学的解析を試みる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Arabidopsis RPT2a, 19S Proteasome Subunit, Regulates Gene Silencing via DNA Methylation2012

    • 著者名/発表者名
      Kaori Sako, Junji Yamaguchi
    • 雑誌名

      PLoS ONE

      巻: 7 ページ: e37086

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0037086

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Sugar-inducible RPT2a, a subunit of 26S proteasome, participates in sugar response in Arabidopsis.2012

    • 著者名/発表者名
      Huihui Sun, Kaori Sako, Junji Yamaguchi
    • 雑誌名

      Plant biotechnology

      巻: 29 ページ: 279-284

    • DOI

      10.5511/plantbiotechnology.12.0409a

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 植物26Sプロテアソームの多様な機能-「品質管理」にとどまらず器官サイズや遺伝子サイレンジンクなど様々な現象を制御-2012

    • 著者名/発表者名
      佐古香織
    • 雑誌名

      化学と生物

      巻: 50 ページ: 232-234

    • DOI

      http://doi.org/10.1271/kagakutoseibutsu.50.232

  • [雑誌論文] 植物のRING型ユビキチンリガーゼとプロテアソームシステムの機能2012

    • 著者名/発表者名
      前川修吾, 佐古香織, 佐藤長緒
    • 雑誌名

      生化学

      巻: 84 ページ: 416-424

  • [学会発表] 環境ストレス応答におけるシロイヌナズナ26SプロテアソームサブユニットRPT2aの機能解析2013

    • 著者名/発表者名
      佐古香織
    • 学会等名
      第54回植物生理学会
    • 発表場所
      岡山大学(岡山県)
    • 年月日
      2013-03-21
  • [学会発表] Arabidopsis RPT2a, 26S proteasome subunit, plays an important role in the negative regulation of DNA methylation2012

    • 著者名/発表者名
      Kaori Sako
    • 学会等名
      ZOMES VII
    • 発表場所
      ミュンヘン(ドイツ)
    • 年月日
      2012-09-19

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公開日: 2014-07-16  

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