研究概要 |
本研究の目的は手技に応じて適切な情報を提示し運針結紮動作を安全に実行可能な小児内視鏡外科手術支援システムの構築である. この目的を実現するために3つの研究を遂行した. 1つ目は小児外科用多自由度持針器を用いたウサギ体内での肝門部空腸吻合実験である. 実験は2013年7月から11月にかけて4回遂行した. 実験は東京大学医学部倫理委員会の承認を受けて遂行した. 本実験の目的は, 開発した多自由度持針器が生体内で使用可能かを評価することである. 結果から開発した多自由度持針器は生体内で使用可能で既存術具と比較して安全に運針可能であるが, 改良の余地があることが分かった. 2つ目は小児内視鏡外科手術における内視鏡位置最適化のための体腔内干渉シミュレーションである. 小児内視鏡外科手術においては体内外の干渉無しでかつ最適な視野を確保できる内視鏡位置が重要となる. そこで, 内視鏡と術具1本をモデル化して内視鏡が手術対象に近づいた時のワークスペースの減少量をシミュレーションした. 今後この結果を基に更なるシミュレーションを遂行する予定である。3つ目は小児内視鏡外科手術用の新しい手技評価項目として術具挿入点にかかる力が適当であるかを確認したことである. これまでの研究を通して熟練医は術具挿入点に力をかけずに施術をしていることが観察されていた. そこで, 実験系を製作し小児外科医と工学部学生を被験者として実験を遂行した. 結果から右手持針器の挿入点にかかる力が針の取り回し時と運針時に有意な差が認められた. 今後は小児外科医の中で術具挿入点にかける力に差が存在するか実験を遂行する予定である.
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