研究課題
相転移温度を低温から室温近傍まで制御可能なLa (Fe, Si)_<13>系化合物を用いて相転移進行の挙動解明に取り組んでいる。2年度目は、これまで測定・評価した等温過程における磁化の時間変化測定をもとに、磁場印加時間と磁化曲線の関係を調査するために、転移履歴の大きさの時間変化を評価した。La (Fe_<0.88>Si_<0.12>)_<13>化合物の場合、磁場を印加してから約500秒程度で転移履歴の大きさは漸近する。漸近した値は磁場印加直後の転移履歴の50%程度に相当し、電子構造に起因する転移履歴損失であると判断した。また、Pr-Al複合部分置換により転移履歴損失の大きさが1/10以下まで低減することを見出した。本研究においては、相転移進行に対する熱活性の寄与と転移履歴損失の変化について評価を行い、磁化変化と転移履歴を同時制御することに成功した。さらに、本研究において、相転移速度がエネルギー障壁を反映する移動度と磁化変化に相当する駆動力の積で表せることを見出し、Fe組成、Al部分置換、Pr部分置換および複合部分置換についての検討を行った。Fe組成の増加によりエネルギー障壁の増大は活性過程を抑制し、電子構造由来の履歴を増加させる。一方で、Al部分置換による転移履歴の低減や転移に伴う磁化変化の低下、Pr部分置換による転移履歴の低減と転移に伴う磁化変化の増大を確認した。これらを組み合わせることにより、磁気熱量効果の維持および増大と一次相転移特有の熱損失の低減、相転移速度の制御が可能となり、高効率磁気冷凍のための材料設計に対して指針を示した。
(抄録なし)
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