研究課題/領域番号 |
12J07338
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
栗田 萌 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員DCl
|
キーワード | トポロジカル絶縁体 / 変分モンテカルロ法 / 電子相関 |
研究概要 |
本研究では前年に引き続き、近年グラフェンなどで実現されるディラック電子のようなゼロギャップ半導体において、電子相関の効果で新奇の量子相が出現する可能性を探るべく、VMCを用いた数値計算を試みた。 計算はハニカム格子系で行い、これにオンサイトのクーロン相互作用Uおよび周辺サイトとのクーロン相互作用V_1, V_2を導入した。その結果、今までの平均場での研究と比べてトポロジカルモット絶縁体の領域は他の秩序相に潰されてしまい、大きく制限されてしまうことがわかった。しかし、ハニカム格子上の六角形の対角線上のホッピングパラメーターをコントロールすることでトポロジカル絶縁体のオーダーパラメーターが残りそうな領域を現在見いだしている。 また、計算手法の開発としてキタエフ模型からハバード模型までを統一的に解くことができるアルゴリズムの開発を試みた。キタエフ模型とはスピン間相互作用が強磁性のコンパス型になるハニカム格子上の模型で近年注目を集めている。このキタエフ模型は、電子が遍歴しないいわゆるスピン模型であり、より現実的な多軌道ハバード模型の強相関極限に相当する。現実物質での実現可能性を検討するには、電子の遍歴性を考慮し、第一原理的に導出された多軌道のハバード型模型を考察することも必要である。 そこで、本研究ではハバード模型からキタエフ模型までの解を統一的に表現するために、ハバード模型の高精度な解法として既に知られている多変数変分モンテカルロ法の波動関数を、キタエフ量子液体を表現できるように改良した。この手法により、24サイトおよび32サイトの模型においてエネ
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
トポロジカルモット絶縁体の方についてはまだ確定的なことが言えていないが、アルゴリズム開発の方は当初の予想を超える精度のものが達成されている。
|
今後の研究の推進方策 |
トポロジカルモット絶縁体について、その存在領域を確定させるとともに、数値計算手法の開発では今より大きな系の計算が可能になるように改善を行う。
|