研究課題/領域番号 |
12J07349
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
松井 貴英 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | Rab / オートファジー / mTORC1 / リソソーム / アミノ酸トランスポーター / リサイクリングエンドソーム |
研究概要 |
本研究では修士課程において明らかにした、低分子量G蛋白質Rab12が制御するリサイクリングエンドソームからリソソームへの新規膜輸送経路の生理的意義の解明を目的にしている。これまでの予備実験から、Rab12のノックダウンが細胞内成分の分解機構であるオートファジーを阻害することがわかっていたが、Rab12が制御する膜輸送経路とオートファジーの関係性はほとんど明らかになっていなかった。当該年度において、Rab12ノックダウンのオートファジーへの影響を詳細に解析したところ、Rab12はオートファジーを直接制御しているわけではなく、間接的にオートファジーの誘導を制御していることが明らかとなった。オートファジーの誘導にはmTORC1というkinase複合体が制御していることが知られている。興味深いことにRab12ノックダウンによりmTORC1の活性が上昇し、さらにRab12はmTORC1の上流で機能するAktの活性には影響を示さなかったことから、Rab12がAkt非依存的にmTORC1を活性化する、アミノ酸によるシグナルを制御している可能性が考えられた。一般的に細胞内のアミノ葭量は細胞膜上のアミノ酸トランスポーターに制御されている。そこでRab12と高い共局在性を示すアミノ酸トランスポーターPAT4に注目した。詳細な解析の結果、Rab12は上述の新規膜輸送経路を介してPAT4のリソソームによる分解を制御していることがわかった。面白いことにRab12ノックダウンは細胞膜上のPAT4量も増加させたことから、Rab12はPAT4の分解(品質管理)をコントロールすることで、細胞内アミノ酸量及びmTORC1活性を制御することで間接的にオートファジーを制御していると考えられる。この仮説はRab12とPAT4のダブルノックダウンによりRab12ノックダウンのmTORC1、オートファジーへの影響がキャンセルされたという事実からも裏付けられている。本研究結果は、既にEMBO Reports誌に筆頭著者として本年3月に論文発表を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の研究計画では当該年度は実験データの取得と解析を主に行う予定だったが、実際は国際誌に投稿を行い、年度内に掲載するに至った。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の中心テーマの一つについては当該年度に論文発表することができたが、その他のテーマはまだすべての実験結果を得るには至っていない。そこで本年度においても当該年度と同様に論文投稿を行い、掲載を目標に研究を推進する。
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