研究課題/領域番号 |
12J07412
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉田 塁 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
キーワード | てんかん / 迷走神経刺激法 / 青斑核 / MEA |
研究概要 |
本研究の目的はてんかんの治療法である迷走神経刺激法(Vagus Nerve Stimulation : VNS)の作用機序解明である。 そこで、本研究では、てんかんに関連する海馬、VNS作用機序に重要と考えられている青斑核と縫線核を微小電極アレイ上で再構築することで、その目的を達成する予定である。 以上を踏まえて、当該年度では「共培養デバイスの作製」「海馬由来神経細胞の摘出と培養」「青斑核由来神経細胞の摘出手法の確立」「青斑核由来神経細胞の培養手法の確立」を行った。 以下、各項目について詳細を記述する。 ・微小電極アレイの作製 海馬、青斑核、縫線核の3部位を共培養するためのデバイスをフォトリソグラフィを用いて作製した。また、各2部位間の関係性を明らかにするために、2部位を共培養するためのデバイスもフォトリソグラフィを用いて作製した。 これによってVNS作用機序解明のための細胞培養が可能となった。 ・海馬由来神経細胞の摘出と培養 てんかんに関わる脳部位である海馬をラットから摘出し、デバイス上で培養した。これによって神経細胞に対して電気計測と刺激すること可能となった。 ・青斑核由来神経細胞の摘出手法の確立 ラットの脳内には約2億ほど神経細胞がある。その中で青斑核に存在する細胞は約1000個と考えられている。そこで青斑核由来の神経細胞を摘出することは本研究において最大の課題であると考えられたが、その摘出手法の確立に成功した。これによって、脳の中で数少ない青斑核由来神経細胞を再現性よく摘出することができるようになった。 ・青斑核由来神経細胞の培養手法の確立 摘出した青斑核由来神経細胞の培養方法を確立した。これによって、今後の実験が実現可能となった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今後の実験本研究において困難と考えられた青斑核の摘出と培養方法が確立された。このことにより、今後の実験が効率的に行えると考えられ、当初の実験計画を期間内に終えることが可能と考えられるため。
|
今後の研究の推進方策 |
デバイスを用いて、海馬由来神経細胞と青斑核由来神経細胞の単独培養を行う。 通常状態とてんかん様活動を誘発する薬剤を投与した状態で各神経細胞の電気計測を行い、その活動を評価する。 そして、各神経細胞に電気刺激を行い、電気的活動を計測し、評価する。 デバイスを用いて、当該部位由来神経細胞の共培養を行う。 海馬由来神経細胞を上記2状態にした上で、各神経細胞の電気計測を行い、その活動を評価する。そして、青斑核由来神経細胞に電気刺激を行い、両部位の電気的活動を計測し、相互作用を評価する。
|