研究課題/領域番号 |
12J07430
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐久田 淳司 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 液晶 / 電解質 / リチウムイオン伝導 / カーボネート |
研究概要 |
リチウムイオン電池は、高出力密度、高エネルギー密度を有する蓄電デバイスとして、現在盛んに研究されている。リチウムイオン電池の高性能化や、安全性、信頼性の向上という観点から、新たな高機能電解質の開発が重要である。イオン伝導体に液晶性を付与することで得られる液晶電解質は、一次元から三次元のイオン伝導パスを自己組織的に形成し、イオンの効率的な輸送を可能にするため、新しい電解質材料として注目を集めている。本研究では、液晶電解質をさらに高機能化するために、目的のイオン、すなわちリチウムイオンの伝導に注目し、リチウムイオンを効率的に輸送する液晶電解質の開発を目指している。 液晶電解質に関する材料設計指針を得るために、環状カーボネート基とメソゲン骨格を有する棒状分子を新たに設計、合成した。この分子とリチウム塩の複合体はスメクチック液晶相を発現し、二次元のイオン伝導パスを形成することが分かった。イオン伝導度測定を行ったところ、伝導パス方向に効率的なイオン伝導が起こっていることが示された。また、過去に当研究室で開発した環状カーボネート基を有するカラムナー液晶に比べて伝導度が大幅に向上した。さらに各種電気化学測定の結果、今回得られた液晶電解質はリチウムイオン電池の電解質として応用できることが分かった。カーボネート基を有するイオン伝導性液晶に関して得られたこれらの知見は、リチウムイオン伝導性の高機能な液晶電解質の開発につながるものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の研究により、カーボネート基を有するイオン伝導性スメクチック液晶の開発に成功した。この材料はリチウムイオン電池の電解質として良好な特性を示すことが分かっており、リチウムィオン伝導性の高機能な液晶電解質の開発に向けて、重要な知見が得られたと考えられる。以上のことから、平成25年度の研究はおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
新たなイオン伝導性液晶分子の設計、合成、特性の評価を行うことで、リチウムイオン電池への応用が可能な液晶電解質の開発に向けた知見の集積を行う。また同時に、アニオンを液晶構造に固定するような分子デザインに基づき新しいリチウム塩を設計、合成することでリチウムイオンを選択的に輸送する材料の開発を目指す。
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