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2012 年度 実績報告書

野生生物の分布拡大を予測する汎用的な統計モデルの開発とその適用

研究課題

研究課題/領域番号 12J07455
研究機関東京大学

研究代表者

長田 穣  東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)

キーワード分布拡大 / 移動障壁 / ニホンシカ / イノシシ / 状態空間モデル / ベイズ解析 / 管理戦略
研究概要

本研究では、主に以下の二つの目的をもって行っている。
(1)野生動物の分布拡大を予測するための汎用的な統計モデルの開発
(2)モデルの予測に基づいた千葉県房総半島での最適管理戦略の導出
野生動物の管理には細かい空間スケールで生物の分布拡大を予測することが必要とされている。しかし、これまでは、(1)生物の移動に影響する環境異質性を考慮することが困難、(2)野外データが疎ら、(3)非常に多くの計算量が必要、等の理由から、そのような予測を行うことのできる統計モデルはほとんど検討されてこなかった。本研究では、生物の移動分散のモデル化を工夫し、最新の統計手法を利用することで、上記の問題の解決に取り組んだ。昨年度は、開発した統計モデルを千葉県房総半島のシカ個体群に適用し、シカ個体群の成長率や移動率にどのような環境要因が影響しているかを明らかにした。その結果から、千葉県のシカ個体群にはほかの地域に比べて成長率の高い地域や移動障壁となっている地域が存在していること、そのため均質的でない分布拡大をしていることが確認できた。また、この統計モデルに基づき、将来のシカ個体群の分布拡大を予測し、予備的な管理戦略のシナリオ分析を行った。本研究の成果は、日本哺乳類学会の企画集会「哺乳類学への誘い―長期研究の中から見つかる面白さ―」、および第一線の海外研究者(Guilles Guillot)を招いて開催されたワークショップで発表した。
当初の計画ではイノシシ個体群にも開発したモデルを適用する予定であったが、存在するデータの空間スケールが粗く開発したモデルには適用できないことが判明した。そこで、イノシシ個体群に適用できるモデルを新たに作成し、成長率と環境要因の関係を解析した。本研究では、最近注目されている耕作放棄地が野生動物に与える影響を明らかにした。本研究の成果は、日本生態学会の企画集会「耕作放棄地の生態学―生態系管理の実現に向けて―」で発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成24年度に行う予定であった疑似データによる統計モデルの検証が必要でなくなったため、代わりに平成25年度に行う予定であった千葉県房総半島の野生動物への適用を行うことができた。

今後の研究の推進方策

昨年度、千葉県によって調査されたデータを精査したところ、(1)シカ以外の野生動物の個体数指標となるデータは非常に限られた年度・場所でしか存在していない、(2)動物種ごとに異なる空間スケールでデータが採取されている、ことが判明した。これにより当初の計画(複数種の動物の相互作用の推定)の実行は困難となったため、対応策としてそれぞれの動物種ごとに適した統計モデルを別々に構築することとした。今後は、研究成果を論文化し、千葉県に対する管理戦略の提言をまとめる予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013 2012

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] イノシシの増加と耕作放棄地:その相互依存性の検証2013

    • 著者名/発表者名
      長田穣
    • 学会等名
      日本生態学会
    • 発表場所
      グランシップ(静岡県)
    • 年月日
      2013-03-06
  • [学会発表] 環境異質性を考慮した分布拡大の予測 -千葉県房総半島のシカを例にして-2012

    • 著者名/発表者名
      長田穣
    • 学会等名
      日本哺乳類学会
    • 発表場所
      麻布大学(東京都)
    • 年月日
      2012-09-21

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公開日: 2014-07-16  

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