トカマク方式は,磁場を用いて超高温のプラズマを装置壁に触れないよう閉じ込める.しかしながら、完全に閉じ込める事は不可能であり、僅かに漏れる高温のプラズマが存在する.従来は壁近傍での放射冷却による熱負荷の対策を行うが,核融合発電炉を目指す上で,材料の耐久性を上回る熱負荷が問題となる.本研究で提案する動的ダイバータは壁に触れずにこの熱流を処理する世界初のアイデアであり,東京大学TS-4実験装置を用いた実験的提案,そして核融合科学研究所との共同研究による数値シミュレーションを用いた物理解明の双方を通じて,新ダイバータの基本動作の確立,及び背景物理機構の解明を行った. 実験においては,TS-4装置において,新たにダイバータコイルの設置とダイバータ領域に100[ch]の磁場計測用プローブを開発し,動的ダイバータの基本動作である,コアプラズマからのプラズモイド放出を実現した.また,プラズモイド形成中にコアプラズマからの熱流がプラズモイドへと輸送されていることを,粒子軌道計算を用い明らかにした. 数値計算においては,コアプラズマからのプラズモイド放出の素過程である,磁気リコネクションのエネルギー変換過程を解明した.プラズモイド放出が生ずる領域は繋ぎ変わる磁場に対して垂直のガイド磁場が存在する領域であり,ガイド磁場下のエネルギー変換機構や粒子加速機構を明らかにした.
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