研究課題/領域番号 |
12J07471
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
玉井 隆 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 医療人類学 / 公衆衛生 / マラリア / ナイジェリア / アイデンティティ / 生物医療 |
研究概要 |
平成25年度における研究は概ね当初の計画通りに進んでいる。まず2013年6月に日本政府と多くのアフリカ各国政府首脳級が集うアフリカ開発会議(TICAD)が開催されたのに伴い、同年4,5月はNGOや行政から情報収集を行い、今後の公衆衛生や保健医療をめぐる開発援助の動向を調べた。また5月には、昨年度にナイジェリアで行つた長期フィールド調査の成果とその後の文献調査を踏まえ、日本アフリカ学会にて口頭発表を行つた。その後、文献調査を経て、9月から10月にかけて、再びナイジェリア連邦共和国・ラゴス州とベナン共和国・コトヌー市での追加調査を行った。調査地であるマココ地区での参与観察とインタビュー、生活史の聞き取り、病院への訪問、保健省などの行政機関や国連機関を訪問し聞き取りと資料収集を行った。またナイジェリアの調査地には多くのベナンからの移民が暮らしており、彼らの移動をめぐる社会ネットワークを詳しく知るために、彼らのベナンへの移動に同行した。同調査から、人びとの医療行動や病いの認識を理解する上で、人びとの頻繁な移動に着目する必要があることが明らかにされた。同調査におけるこうした新たな発見は、今後の研究の詳細を具体的に方向付ける重要なものであった。またこうした追加調査を踏まえ、12月に「アフリカ子ども学研究会」にて、3月に「アフリカにおける日常世界と武力紛争の記憶に関する学際的研究会」にてそれぞれ招待を受け報告を行った。また12月にIUAES(国際人類学民族科学連合)中間大会に代表者として分科会の開催を申請、査読を通過したため平成26年度5月に開催することが決定した。同分科会は国内外からアフリカを対象とした医療人類学的研究者を招聘し行われ、特に欧米の議論を踏まえた有意義な議論が展開されることが期待される。この分科会開催に伴い、本年度の文献調査は概して欧米の医療人類学における議論を考察することに集中した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通りの研究活動を行ったため。具体的には、文献調査を行い、それにもとづきナィジェリア・ラゴスで昨年度に続き追加でのフィールド調査を1ヶ月間ほど行った。またこれまでの研究成果をアウトプットするために、日本アフリカ学会、にて口頭発表を行ったほか、小規摸の研究会にて2件の招待講演を行っている。論文の執筆も順調に進んでおり、査読の結果を待っている状態である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでのフィールド調査の成果をまとめて、著名とされる論文雑誌に投稿を行う。そのための文献調査を継続的に進める。またフィールド調査をフォローアップするために、再度1ヶ月から2ヶ月ほど、ナイジェリア・ラゴスにてフィールド調査を行う。さらに最終年度は博士論文を執筆し完成させる予定である。
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