最終年度となる平成 26 年度はこれまでの研究成果をまとめることに主に注力した。まず4、5月は主にアフリカ地域を対象とした医療人類学的研究の文献レビューを集中的に行った。また昨年度のフィールド調査で得られたデータを整理しまとめた。これらをもとに国際人類学民族学科学連合(IUAES)中間会議にてパネル代表と報告を行った。同報告では国内外の医療人類学におけるアフリカ地域研究に従事する研究者と活発な議論を行うことができた。特に医療人類学における本研究の位置づけを、海外の動向と照らして検討し、「生物医療」、「グローバル・ヘルス」、「ネットワーク」、「信頼」をキーワードとする研究としての意義を明らかにすることができた。続く6から8月は主にこれまでの研究成果を博士論文や書籍としてまとめるための執筆活動に集中し、またそれに伴い研究対象地であるナイジェリアとベナンの歴史に関する文献調査を集中的に行った。以って本研究のナイジェリア地域研究としての意義を、特に少数移民に着目した点において明らかにすることができた。9月に大学内でこれまでの研究成果を博士論文のかたちでまとめたものに関するな研究成果の報告の機会をもち、そこで活発な意見交換を行った。そこでは文献調査の補足を通したアフリカの政策的課題としてのマラリアに関する検討を掘り下げること、フィールドの特に民族構成に関してやや曖昧な箇所についてのフィールド調査の必要性が指摘された。それを踏まえ10から3月は、まず前者の指摘について国際機関やNGO等の文献・資料を集中的に読み込みフォローした。後者については1から2月にかけて3週間ほど補足のかたちでフィールド調査をナイジェリア・ラゴス州のマココ地区にて行った。
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