研究課題
これまでの遺伝子導入方法ではマトリゲル上で中空のスフェロイドを形成させた後に濃縮したウイルス液を球状コロニーの上から添加していたが、この方法ではこれまで十分な感染効率が得られてこなかった。今年度はこの問題を解決するために次の2点について検討を行った。1)コロニー構成細胞をヘテロにするために、浮遊培養中にウイルス感染細胞と非感染細胞をアグリゲーションさせ、その細胞塊をマトリゲル上に撒いて中空コロニーを形成させる。2)遺伝子導入に用いているベクターはテトラサイクリン誘導系でありDoxを添加することで遺伝子発現をONにする事が出来る。このシステムを用いてウイルス感染後スフェロイド形成過程においては遺伝子発現をOFFのままに保ち、中空コロニーが形成されてからDox添加に依存した遺伝子発現を誘導する。1)についてはウイルス感染を行う浮遊培養中の細胞数やウェルのサイズを検討し、最終的に24wellに1x105細胞を24時間播種した際にウイルス感染細胞を含むヘテロな細胞塊が構築されることを確認し、中空コロニー形成後も一部にウイルス感染細胞が残っている事を確認した。2)についてはコロニー形成後にマトリゲル上の培地を1 ug/ml Dox添加のものに置き換えることで速やかに遺伝子発現を誘導出来る事を見出した。このプロトコルを使って活性化型のH-Rasを中空コロニー中の細胞に発現させたところ、H-Ras発現細胞の約10%が管腔内部へ移動することが分かった。H-RasとIRESを挟んで組み込まれているVenusの発現量は間接的にH-Ras発現量を示すが、H-Ras発現細胞のうち移動する細胞と移動しない細胞を比べた所、移動した細胞ではVenusの発現が非常に強い事が分かった。すなわち、管腔内部への移動には強いRas活性化が必要であることが示唆された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Mol Oncol.
巻: 9(2) ページ: 355-64
10.1016/j.molonc.2014.09.005.