研究課題/領域番号 |
12J07604
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
柳川 亜季 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 特別研究員(PD)
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キーワード | 干ばつ / NDVI / PDSI / 土地利用履歴 / 放牧地生態系 / 脆弱性 |
研究概要 |
水循環モデルのベースとなる、生態系地図を作成するため、24年度はデータの収集・解析に集中して取り組んでいた。生態系は気候条件と長期的な土地利用に大きく影響を受けることを利用し、データの解析では、グローバルスケールでの半乾燥地における天水農業地域を土地利用と履歴別に抽出し、生態系の指標として、NDVIの時系列変化を解析している。また、長期的な土地利用や生態系と気象の極端現象(干ばつ)との関係について、統計的に解析をおこなった。 年代別天水農業地域とNDVIと干ばつ指数(PDSI)との相関係数の関係を解析すると、放牧地においては、放牧期間が長期のグリッドでは、短期のそれと比較して、相関係数が高いことが示された。このことから、放牧期間が長く、放牧地生態系が成立していると考えられる地域では、干ばつが起こった場合は、草原に新しい葉が旺盛に茂ることは少なく、一方で、干ばつでない年はその逆で草原に新しい葉が茂るということが示された。つまり、干ばつの翌年が干ばつでない場合、前年の干ばつの影響を引きずることなく、草原が回復する傾向を示していると考えられる。一方で、天水耕作地域では、地点間のばらつきが大きく、耕作期間の長短による明瞭な違いは無かった。これは、耕作地では、作付け品目によって、干ばつによる影響が異なることが一つの理由として考えられた。以上より、放牧と耕作では、土地利用期間における、干ばつによる影響の傾向に違いがあることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究から、長期的な土地利用と生態系との関係を地図上で明示化することが可能となるばかりでなく、気候変動に関する脆弱性についても明示化することが可能となる。現在、この結果を最終的にまとめ、投稿に向けて準備中であり、その研究成果が期待されるところである。また、今後、半乾燥地における農業において重要になると考えられる、燃料作物に関する、耐塩性・耐乾性に関する論文を投稿・受理された。以上より、おおむね順調に進展していると考え得る。
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今後の研究の推進方策 |
今後、24年度の結果を用いて、干ばつへの脆弱性も考慮した生態系地図の製作を行うとともに、結果をまとめ国際誌へ投稿する予定である。 25年度以降は、気候変動下における半乾燥地での生態系機能を考慮した持続的農業生産モデルの基礎となる水循環モデルの構築に取り組む予定である。水循環モデルには、24年度に作成した生態系地図を用いる予定である。
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