研究実績の概要 |
【概要】水循環モデルの基礎となる生態系地図を作成するため、生態系に大きな影響を及ぼす、生物の多様性(植物種数)、土壌の種類および長期的な土地利用履歴に着目し、極端現象(干ばつ)への脆弱性も考慮した生態系地図の作成を行っている。対象地が半乾燥地の天水農地と広大であるため、空間分散を考慮したベイズモデルによって、干ばつに対する脆弱性にもっとも影響をあたえる要素とその程度について検討した。その結果、植物種数が干ばつに対する脆弱性に最も影響を与えており、その次に土壌の種類の影響が大きいことが明らかとなった。本年度は評価の基礎となるデータベースおよび解析モデルの改良を行い、より信頼性の高い評価を行った。 【対象地およびデータ】1.乾燥地の抽出, 2.灌漑地の除去, 3.土地利用期間に分類, 4.土地利用期間の幅をもつ対象地を選定, 5.干ばつを抽出, 6.干ばつ指数を用いて、深刻な干ばつが5ヶ月以上続いた地域を上記の干ばつ地から抽出, 7.NDVIの最大値をつかって、ResistanceおよびResilienceを算出, 8.土壌分類に従って、対象地の土壌を分類, 9.対象地の種数を抽出 【評価方法および解析方法】評価(目的変数)には以下の3つの値を用いた。1.Resistance(抵抗力)= 干ばつ年の最大NDVI /干ばつ年の前年の最大NDVI, 2.Resilience (弾性)=干ばつ翌年の最大NDVI /干ばつ年の前年の最大NDVI, 3.干ばつ年のNDVIの最大値 解析では、種数,耕作利用期間,草地利用期間, 土壌について、変数選択の後、空間の分散を考慮したベイズモデルによって、変数の係数を得た。 【結果】 Resistanceでは、インド、スペインにおいて種数の影響が大きかった。Resilienceでは、東アフリカ以外で土壌の影響が大きかった。干ばつ年のNDVIについては、種数の影響が最も大きかった。
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