研究課題/領域番号 |
12J07630
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
竹田 泰隆 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | ソーシャルメディエータ / ヒューマンロボットインタラクション / 協応構造 / 個人間協調 / 巧みな運動 |
研究概要 |
本研究の目的は、人の身体に備わっている協応構造の組織化に着目し、キャリングビークルを用いることで「巧みな運動」と呼ばれる高度な運動をモデルすることにある。初年度は、人と人との協調によってCOLUMNと呼ばれる多自由度を内包したキャリングビークルを思い通りに操作できるようになるまでの過程について、フィールド調査・分析を行った。具体的には、操作者間のコミュニケーション内容とCOLUMN内のパラメータから、思い通りの操作が確立されるまでの過程について分析を行った。その結果、操作者=自由度となってCOLUMNを操作する関係において、自由度同士のタイミングと位置関係が複雑に影響し合っているものの、同じようなシチュエーションにおいていくつかのパターンの存在が示された。これらの結果は、APCHI2012で発表した。また、操作者間の「会話」や「間の取り合い」の構築、あるいはグループ内のリーダーによる「指揮」が、COLUMNを思い通りに操作するために必要であることが分かった。これらの結果は、ヒューマンインターフェースシンポジウム2012、HAIシンポジウム2012で発表した。さらに、人と人とを繋ぐ社会的なメディエータとしての観点からCOLUMNを運用した際の研究成果を、HRI2012で発表した。 なお、ヒューマンインターフェースシンポジウム2012では【優秀プレゼンテーション賞】を受賞した。また、HAIシンポジウム2012では【HAI-2012 Impressive Experience Award】を受賞した。また、HRI2013では【HRI2013 Best Demonstration Honorable Mention Award】を受賞した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね計画通り研究は進んでいるが、ロボットの不具合に伴う整備などに時間を割かれ、成果の中間発表となる論文投稿が遅れている。しかしながら、この点は近々解決する見通しであるため、ここでの達成度を「おおむね」と評価した。また本研究の内容を、国内学会、国際会議、外部展示などにおいて発表した際に、多数の受賞を頂いていることからも、順調に進んでいると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果を発達ロボティクス、及びソーシャルメディエータという観点から整理し、投稿論文にまとめる。その後、Columnの操作に伴う人の協調関係に関する観測データをダイナミカルシステムの観点から整理し、ロボット(Column)の運動獲得における構成要素間の関係のモデル化とリカレントニューラルネットワークを用いたモデルの構築を行う。25年度中は、ロボットの各身体要素間での協調、および周囲の環境とのインタラクションに着目した、ロボットの自らの試行錯誤の中で「上手に目的方向に転がる」ための運動獲得を実現するモデルの構築とその妥当性の評価までを行う。
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