研究課題/領域番号 |
12J07707
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
天畠 大輔 立命館大学, 先端総合学術研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 天畠大輔 / 重度障がい者 / 発話困難 / コミュニケーション / 介助者 / 通訳者 / skype / 自己決定 |
研究概要 |
博士論文の執筆において「「通訳者」を必要とする「障がい者」と「通訳者」」の関係性について、国内外の「障がい者」と「通訳者」の現状と問題を探った。具体的には、台湾におけるコミュニケーションが極めて困難な障がい者、荘馥華(ジョアン・フーフォア)氏とその通訳・介助を担う彼女の母を対象に半構造化インタビューを行った。台湾では発話が困難な障がい者への支援体制が確立されておらず、家族介助、通訳が一般的であった。また、国内の弁護士でろう者である田門浩氏、及びその専門手話通訳者への半構造化インタビューを行い、通訳を必要とする障がい者が高度専門領域の仕事に従事する際の支援システム及び支援者の養成について可視化された。自身を対象とした調査では、通訳者への半構造化インタビュー及び参与観察を行った。また、尊厳死学習会や障害学会への参加によって、尊厳死法等の制度における、発話が困難な重度障がい者の自己決定の保障がなされていない現状と、意志の表出の機会や手段の確保の必要性を再認識した。介助者が集まりにくいと想定した東日本大震災被災地である宮城県と、離島の沖縄県宮古島に絞り介助者派遣事業所に半構造化インタビューを行った。宮城県では、重度障がい者は、衣食住介助者の確保のため病院を避難場所としていることが明らかになった。また、沖縄県宮古島では、自宅での家族介助や施設入所が一般的であり、自立生活を営む人が極めて少ない現状であった。投稿論文として執筆した「発話困難な重度身体障がい者における通訳者の「専門性」と「個別性」について―天畠大輔の事例を通して」では、障がい者の自己決定権を保ち続けるあり方を模索する必要性を考察した。「発話障がいを伴う重度身体障がい者のSkype利用―選択肢のもてる社会を目指して―」では、移動困難な重度障がい者の生活手段としてSkypeをとおした買い物の手段を新たに提示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していた予定に近い形で研究がすすみ、インタビュー調査が順調に進んだ。そのため「おおむね順調に進展している」とする。
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今後の研究の推進方策 |
基本的に研究計画に基づいた研究課題の遂行、執筆を行っていく。今年度は、調査結果の分析、まとめを中心に行っていく。
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