研究課題
本研究の大きな目的は、「語の学習過程を脳のエピソード記憶から意味記憶への変化の過程として捉え検証する」ということである。語はそのほとんどが学習過程を通じてカテゴリー化した語意を含む。この大きな目的を果たすため、「語意とカテゴリーの表象の問題」を考慮する必要があった。そこで本年度はカテゴリーに関わる先行研究のリサーチと実験パラダイムの作成に集中した。実際にリサーチを行なうと、カテゴリーの先行研究は膨大なものがあった。これらを把握しなければ先に進めないことから、先行研究についてリサーチする必要があった。よって、先行研究のリサーチに集中した。本リサーチの意義は、先行研究や考え方をとらえ、実験のパラダイム作り及び成果に着実に結び付けることにある。このことから、実験を進める前に先行研究の調査や実験パラダイムを作ることに時間をかける必要があった。先行研究をリサーチするため哲学、心理学、言語学、認知科学等におけるこれまでのカテゴリー論の文献をあたってきた。特に、カテゴリーとは何か、カテゴリーが言語においてどういった役割を担っているか、また実験において言語とカテゴリー情報の連合に関する検証すべき点(メカニズム)はどこにあるのか、についてリサーチを行ない、まとめることに従事してきた。その結果、カテゴリーというもののとらえ方やカテゴリーの形成というものには非常に複雑な要因が関わっており、実験に落とし込むにはカテゴリー化に関わる要因を弁別して、それらの関連要因がどのようにカテゴリー化に関与するのか、について実験で検証する必要があることが判明してきた。よって実験パラダイムに落とすには関連要因ごとに分け、要因の効果が脳活動や行動指標(正答率、反応時間)にどのように影響するのかについて調べる必要があることが明らかとなった。現在は、実験パラダイムを先行研究を随時リサーチしながら構築中である。
2: おおむね順調に進展している
本年度は、本研究の目的を達成する上で、カテゴリー化に関わる先行研究をリサーチすることは必要不可欠であったため、当初の計画の中に先行研究の詳細なリサーチとそのリサーチを踏まえた実験パラダイム作りに力を注いた。そのため当初の計画よりも遂行項目が増えることになったが、着実に一歩一歩進んでいることからこのような区分にあてはまると思われる。
今後の推進方策としては、先行研究をリサーチする中で、言語的カテゴリー化(カテゴリー情報にラベルを付与するカテゴリー化)と非言語的カテゴリー化(カテゴリー情報にラベルを付与しないカテゴリー化)の違いと共通性、エントロピーの問題、カテゴリーの種類の問題、カテゴリー形成における記憶の状態(エピソード記憶から意味記憶への変化)の問題、などについて解明する必要性があることがわかってきた。よって、当初の大きな目的に変更はないものの、上記で挙げた要因が如何にカテゴリー化に関係しているかを検証する方向にシフトし実験パラダイムをより精密に改善した上で実験を行なっていく。
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