研究課題
本研究の目的は、語とカテゴリー情報の連合(言語的カテゴリー化)について、理論に基づいた心理実験と認知神経科学的実験(fMRI実験)により検証し、明らかにすることである。本研究の重要性と意義は、これまで理論やモデル、心理テストなどでしか明らかにされてこなかった言語的カテゴリーに関して、脳活動からその処理過程を明らかにすることにある。本年度は、膨大なるカテゴリー研究の知見のリサーチを継続しながら、語とカテゴリー情報の連合形成について実験による検証を行なった。先行研究の理論やモデル等のリサーチでは前年度に引き続き、カテゴリー情報、(言語的)カテゴリー化、カテゴリー学習の知見及びその方法論をおさえまとめることに専念した。こうした理論やモデルをリサーチしながら、妥当な実験デザインや実験パラダイムを繰り返し議論し構築した。その後、出来上がった実験パラダイムに基づいて、実験のための刺激を作成し、実験プログラムを作成した。出来上がった実験プログラムを用いて心理実験を行ない、被験者の言語的カテゴリー化における学習が出来るデザインであることを確認した。心理実験後、実際にfMRI実験を行ない、被験者が実験中に言語的カテゴリー化を行なう過程について撮像をした。現在は、解析中であり、結果により次年度も追加で撮像する予定である。fMRI実験の結果によっては、新たな追加実験をする必要もあると予想される。今後は引き続き、理論とモデルのリサーチと実験両面の研究を継続し、言語的カテゴリー化に関わる脳内処理過程解明を努める。
2: おおむね順調に進展している
本研究は、先行研究のリサーチ継続のみならず、実験パラダイム作成、実験刺激の作成、実験プログラム作成、心理実験遂行、fMRI実験遂行と解析まで、おおむね目的に沿って研究できた。fMRI実験の解析はまだ途中経過であり、新たな追加実験を行なう可能性もあるが、本年度の研究目的はおおむね達成できたと思われる。
今後の研究推進としては、実験デザインが複雑となっているため、実験デザインを単純化し、デザインの複雑性を排除する必要があると考えられる。また実験で焦点を当てる要因等も簡素化し、言語的カテゴリー化の脳内処理をとらえやすい単純な実験を構築し、実験する必要があるだろう。さらに現在まで撮像した実験の結果の解釈について、より詳細に解析を行ない、結果をまとめ、今後の課題を検討する。
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Japanese Psychological Research
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