研究課題/領域番号 |
12J07837
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
小松 寛 早稲田大学, 国際学術院, 特別研究員(PD)
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キーワード | 戦後沖縄史 / 自治 / 日本復帰 / 本土並み / 尖閣諸島 / 琉球政府 / 領土問題 / ナショナリズム |
研究概要 |
本年度は共著1冊、単著1冊および研究報告1本を発表した。 共著『平和を考えるための100冊+α』(日本平和学会編、法律文化社、2013年11月)では「沖縄『自立』への道を求めて」を担当した。本書は平和をテーマとした文献の書評集であり、表題の書籍のほか複数の文献に言及しながら沖縄の自治と平和について論じた。 単著として『戦後沖縄の帰属議論と民族意識―日本復帰と反復帰』(早稲田大学モノグラフ91、早稲田大学出版部、2013年11月)が刊行された。本書は昨年度学位授与された博士論文が元になっており、早稲田大学文化推進部出版企画委員会の審議の結果、出版に至った。この中で日本政府と琉球政府間における「本土並み」をめぐる議論を扱っている。 研究報告として『韓琉フォーラム「東アジア平和空間の創出」』(2014年2月11日、沖縄大学)にて「領土問題と東アジアの平和 : 1970年前後の琉球政府による尖閣問題への対応」を行った。本フォーラムは韓国と日本、そして沖縄から研究者が集まり、東アジアの平和について議論し交流を深めることを目的として開催された。報告と議論は逐語通訳(日本語―韓国語)を通して行われた。本報告では琉球政府による尖閣諸島問題への対応を分析することにより、沖縄といえども資源を巡るナショナリズムにとらわれる危険性を指摘した。さらに尖閣問題解決に期待される沖縄の役割として、先行研究で言及されてきた沖縄の外交権の拡大よりも、その活用方法が重要であることを明らかにした。『琉球新報』2月12日および2月18日の紙面において本フォーラムについて報道され、18日付紙面では報告者による研究発表の概要が紹介された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究成果の発表については学位論文および共著の刊行や尖閣問題に関する研究報告、現地での資料収集については公文書の複写および元琉球政府職員へのインタビューなどを行ってきた。当初の計画に鑑みてもおおむね予定通りであり、順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究については、まず尖閣問題への琉球政府の対応をテーマとした論文の学会誌への投稿を計画している。また、学位論文を再構成および修正した上での単著や、戦後沖縄と日本国憲法の関係に関する共著を予定している。これらを遂行するために、沖縄での資料収集も継続する。さらに、日本沖縄間の交渉過程を日本政府と琉球政府の「政府間関係」として捉えなおし、他地域(たとえばスコットランド政府)との比較研究の可能性について検討していく。
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