研究課題/領域番号 |
12J08000
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
吉川 貴子 東北大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | Dmrt / 大脳皮質 / カハールレチウス細胞 |
研究概要 |
哺乳類の大脳皮質は神経細胞の構築から6層構造を呈し、各層には異なった投射パターンや遺伝子発現を持つ興奮性ニューロンが配置されるが、どの層のニューロンになるかという細胞運命の決定は、それぞれのニューロンが産生された時期に依存する。Dmrtファミリーは、特に初期の神経細胞に分化する運命の神経幹細胞に発現が強いことから、大脳皮質神経細胞の時期特異的な分化に関与していると考えられ、それによって大脳皮質の層構造形成や皮質ニューロンの多様性分化にも影響を与えている可能性がある。 そこで、層構造形成とニューロンの多様性分化におけるDmrt遺伝子群の役割について解明するために、Dmrta1 KOマウスの出生後でのニューロン多様性分化を大脳皮質層構造特異的マーカー分子の検出によって詳細に検討したところ、野生型とDmrta1 KOマウスにおいて有為な差は認められなかった。次に大脳皮質においてもっとも早く分化する神経細胞であるカハールレチウス細胞について詳細に検討すると、E13.5日胚のDmrta1 KOマウスにおいて、Reelin陽性カハールレチウス細胞が野生型胚と比較して2割程度減少していることを明らかにした。さらに転写因子であるDmrtファミリーによって制御を受ける遺伝子についてはほとんど知られていないため、Dmrta1の下流遺伝子を探索するために、野生型およびDmrta7KOマウスのEIO.5日胚の終脳を用いてマイクロアレイ解析を行った。現在、Dmrta1 KOマウスにおいて発現変動の観察された遺伝子群のデータを解析中である。 上記研究内容は、平成24年9月に横浜で行われた第35回日本神経科学大会にてポスター発表、平成25年2月に仙台で行われた第2回東北脳科学ウィンタースクールにてポスター発表、平成25年3月に理化学研究所にて開催された第6回神経発生討論会にて口答発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
生後のDmrta1KOマウスにおける大脳皮質の層構造に異常は見られなかったものの、大脳皮質においてもっとも早く分化する神経細胞であるカハールレチウス細胞が影響を受けるという新たな結果を得た。また、マイクロアレイ解析によるDmrta1によって制御を受ける遺伝子群のデータを現在解析中であり、当初の計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
上記結果より、Dmrta1が大脳皮質神経細胞の時期特異的な分化に関与していると考えられるが、Dmrt3がDmrta1と重複して大脳皮質に発現が見られることから、Dmrta1とDmrt3の機能重複によってDmrtalKO胚において脳発生の異常が明瞭でない可能性がある。現在、理化学研究所発生・再生科学総合センターの松崎文雄グループリーダーとの共同研究により、Dmrta1およびDmrt3のダブルKOマウスを作製中であり、大脳皮質の神経分化ににおけるDmrtファミリー遺伝子の機能について、さらなる解析を行う予定である。
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