• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実績報告書

染色体転座モデルマウスを用いた原がん遺伝子EVI1活性化と白血病発症の分子機構

研究課題

研究課題/領域番号 12J08044
研究機関東北大学

研究代表者

山嵜 博未  弘前大学, 大学院医学研究科, 助教

キーワード白血病 / 染色体転座 / エンハンサー / EVI1 / GATA2 / 大腸菌人工染色体 / トランスジェニックマウス
研究概要

急性骨髄性白血病と骨髄異形成症候群の一部に3番染色体長腕21 (3q21)領域と3番染色体長腕26 (3q26)領域との間の転座および逆位を伴う3q21q26症候群がある。3q21q26症候群の白血病細胞では、3q26領域に存在するEVI遺伝子が高発現しており、これが白血病発症の原因となっている。本研究では、3q21領域に位置し、EVI1遺伝子を活性化するエンハンサーの同定を試みた。まず、二つの大腸菌人工染色体を連結する手法を用いて、ヒトの逆位3q21q26遺伝子座を再現し、この構築を有する3q21q26トランスジェニックマウスを作製した。このマウスでは造血幹細胞および前駆細胞にEVI1遺伝子の高発現がみられ、マウスは24週齢以降に白血病を発症した。一方、3q21q26構築から3q21領域に位置するGATA2遺伝子のエンハンサーを欠失したマウスを作製したところ、同マウスでは造血幹細胞および前駆細胞におけるEVI1遺伝子の発現が有意に減少し、白血病発症が抑制された。これらの結果より、転座および逆位によってEVI1遣伝子に近接化したGATA2遺伝子のエンハンサーが、EVI1遺伝子の転写を活性化することで白血病発症を誘導することが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

逆位を再現したBACよりGATA2遺伝子のエンハンサーを欠失したマウスの作製・解析が順調に進み、同エンハンサーのEVI1遺伝子活性化における意義を個体レベルで明らかにすることができた。

今後の研究の推進方策

3q21q26遺伝子座においてGATA2遺伝子エンハンサーの活性化に関わる転写因子を明らかにする目的で、(1)3q21q26マウスと候補転写因子欠失マウスの交配による複合変異マウスの作製、(2)3q21q26構築の転写因子結合配列に変異を導入したトランスジェニックマウスの作製を行い、EVI1遺伝子の発現量および白血病発症に与える影響について調べる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] A Remote GATA2 Hematopoietic Enhancer Drives Leukemogenesis in inv(3)(q21 ; q26) by Activating EVI1 Expression2014

    • 著者名/発表者名
      Yamazaki H, Suzuki M, Otsuki A, Shimizu R, Bresnick EH, Engel JD, Yamamoto M.
    • 雑誌名

      Cancer Cell

      巻: 25 ページ: 415-427

    • DOI

      10.1016/j.ccr.2014.02.008.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 第3染色体における逆位ではGATA2のエンハンサーがEVI1遺伝子の発現を活性化することにより白血病が発症する2014

    • 著者名/発表者名
      山嵜博未, 鈴木未来子, 中本雅之
    • 雑誌名

      ライフサイエンス新着論文レビュー

  • [学会発表] A remote GATA2 hematopoietic enhancer drives leukemogenesis in inv(3)(q21 ; q26)by activating EVI1 expression.2013

    • 著者名/発表者名
      山嵜博未, 鈴木未来子, 加藤幸一郎, 大槻晃史, 清水律子, James Douglas Engel, 山本雅之.
    • 学会等名
      第36回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      神戸ポートアイランド,神戸
    • 年月日
      20131203-06
  • [学会発表] 3q21q26症候群におけるEVI1転写活性化と白血病発症の分子機構.2013

    • 著者名/発表者名
      山嵜博未, 鈴木未来子, 加藤幸一郎, 清水律子, James Douglas Engel, 山本雅之.
    • 学会等名
      日本生化学会東北支部第79回例会
    • 発表場所
      東北大学さくらホール,仙台
    • 年月日
      2013-05-11

URL: 

公開日: 2015-06-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi