研究課題/領域番号 |
12J08055
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
今本 拓也 東北大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | ボディチャネル / 3次元縦型構造 / MOSFET / Floating Body / Field Effect Diode / キャパシタレスメモリ / Self-Heating Effect / DRAM |
研究概要 |
特別研究員研究の2年目の計画を、"ボディチャネル動作型3次元縦型MOSFETの寄生容量や浮遊ボディ効果の解明"とした。1年目で提案したField Effect Diode (FED)動作型縦型キャパシタレスDynamic Random Access Memory (DRAM)セルについて引き続き研究を進め、そのスケーリング性能を評価した。これにより、シリコンピラー直径が20nmから12nmまで微細化されても、データの書き込み、消去、読み出し、保持といったメモリ基本動作が行えることを示した。 更に、従来提案されてきたキャパシタレスDRAMと比較して、熱特性の観点からもFED動作型縦型キャパシタレスDRAMの優位性を見出し、そのメカニズムを解明した。キャパシタレスDRAMは、従来の1T-1C DRAMと同様に、一定時間間隔で記憶された情報を書き直す(リフレッシュ)動作が必要である。この時間間隔は、メモリセルのリーク電流に大きく依存するため、メモリセルの温度から強く影響を受ける。しかしながら、従来のDRAMが電圧動作であるのに対して、キャパシタレスDRAMは電流動作型メモリである。これにより、メモリセルに電流を流すことで起こる、自己発熱現象によって、リフレッシュ時間間隔が短くなり、動作速度の低下や消費電力の増大が起こる。 従って、将来の大容量かつ高速動作メモリ実現のためには、熱特性に優れたメモリセルが重要である。この観点より、FED動作型縦型キャパシタレスDRAMの動作メカニズムに注目した。従来のキャパシタレスDRAMは、ビット線電圧に高電圧(約2V)を印加する必要があったのに対して、FED動作型では、約1Vという低電圧で読み書きが行える。これにより読み書き動作時の自己発熱を大幅に抑制できることを示した。そのメカニズムをベースとして設計したDRAMについて次の結果を得た。外気温度を300Kとした場合、従来の動作方式では最大で30.6Kの温度上昇であるのに対して、FED動作型縦型キャパシタレスDRAMでは、最大0.6Kの温度上昇という優れた熱特性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成25年度に計画していた、デバイスの浮遊ボディ効果の解明について、キャパシタレスメモリに着目して研究を遂行した。また、提案したメモリセルの熱特性について解析を行いその優位性を見出したこと、3次元縦型構造MOSFETの測定評価など、平成26年度に計画している研究を一部先行して行った。従って、当初の研究計画以上に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度の研究計画を元に、ボディチャネル動作型の3次元縦型構造デバイスの熱解析を行い、従来の表面動作型デバイスと比較することでそのメカニズムを解明する。そして、3年目までに得られる定常特性、過渡特性、熱特性の観点から総合的に構築したデバイス設計技術をまとめることで、本研究の総括を行う。
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