全射顕微鏡によるMAB4ファミリー因子の観察を行った。加えて、PIN2タンパク質の観察も行った。その結果、対照区をLTI6bとして記述すると、MAB4ファミリー因子はとても速く細胞内を動くことがわかった。加えて、極性方向で細胞膜付近に存在するMAB4ファミリー因子は、動きが遅い事がわかった。PIN2タンパク質は、細胞膜タンパク質の中でも遅い動きをすることがわかった。一方で、MAB4ファミリー因子の動きは、オーキシン極性輸送阻害剤であるTIBAによって制限されることがわかった。そこで、mel1 mel2 mel3 mel4変異体をTIBA培地で育成したところ、野生型では、根の伸びが制限されることに対して、変異体では部分的に薬剤耐性となっていることがわかった。さらに、PINタンパク質の細胞内における動きはTIBA培地では制限されることに対して、変異体では、TIBA耐性になっていることがわかった。以上より、MAB4ファミリー因子は、PINタンパク質の細胞内における動きを制御している可能性が示唆される。 TIBAは、細胞骨格系に影響を与える薬剤であることがこれまでの研究から示唆されており、PINタンパク質が極性を持つことと、細胞骨格の極性を持つことが関連性のある事柄であるかもしれない。MAB4ファミリータンパク質は、細胞骨格とPINタンパク質との仲介をしている因子である可能性を考えて、今後の実験を行っていく。 細胞骨格は植物の生長の方向性や、細胞内のエンドソームの移動の方向等、方向性をつかさどる因子であるので、その情報を伝達する新たな仲介役を発見できれば生物学的に重要な知見となりうる。
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