研究課題/領域番号 |
12J08176
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
八塚 春名 国立民族学博物館, 特別研究員(PD)
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キーワード | タンザニア / 狩猟採集民 / 生業複合 / 農耕 / 文化観光 / 生計維持 / 資源利用 / 生態人類学 |
研究概要 |
本研究の目的は、アフリカの狩猟採集社会を対象に、これまであまり注目されてこなかった狩猟採集民の生業複合に正面から取り組み、今日のアフリカの狩猟採集社会における農耕の多様な展開を明らかにすることである。このことをとおして、狩猟採集社会をめぐる「狩猟採集か農耕か」といった二元論を突破し、両者のあいだにある人びとの生業実践のグラデーションを明らかにしたい。主な研究対象はタンザニアに暮らすサンダウェとハッツァという2民族である。 平成24年度は本研究の初年度であり、サンダウェとハッツァの生業に関する一次資料収集を目的として、タンザニアでの3か月半にわたる現地調査をおこなった。ドドマ州チェンバ県において、サンダウェの近年の農耕や狩猟採集に関する動向を把握するとともに、彼らの養蜂に注目してデータを収集した。この現地調査から、養蜂の技術や知識、ハチミツの収量といった基礎情報に加え、養蜂と他生業との関係性や生計における重要性について明らかにした。一方、ハッツァに関する調査はアルーシャ州のマンゴーラ地区でおこない、生計維持の仕組みを主に観光業と食事に注目して明らかにした。同時に、同地域に暮らす農耕や牧畜をおこなう人びとにも、生計に関する聞き取りを実施した。以上の調査から、ハッツァ社会における農耕や農作物の位置付け、近隣民族との関係といった点についても、おおよそ把握することができた。 また、国際学会2件、国内学会1件、および複数の研究会での報告をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多数の学会・研究会への参加やフィールドワーク等をとおして、広い視野を持ちつつも生業と資源利用という2点へ自分の強みを収斂してきた。国内および海外の学会では、これまでの研究を発展させる新しいテーマ(養蜂や先住民)での発表に挑戦できた。また、3か月半にわたるフィールドワークにおいて、新しいフィールドを開拓し、現代ハッツァの生計や観光業について詳細なデータを取得できた。しかし、論文を投稿するまでに至らなかった点を反省したい。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は24年度の学会発表および現地調査の成果を論文として公表することを第一に進める。また、タンザニアでの短期間の現地調査を実施し、サンダウェの養蜂にかんする量的データの補足とハッツァの農耕についての広域調査をおこなう。さらに、ボツワナ共和国にてサンの文化観光を調査し、ハッツァの観光業や生計との比較をおこなうことを計画している。
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