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2013 年度 実績報告書

新しい流体・固体連成破壊解析手法の提案と,都市域の詳細な津波解析

研究課題

研究課題/領域番号 12J08183
研究機関東京大学

研究代表者

藤田 航平  東京大学, 地震研究所, 特別研究員(DC1)

キーワード都市地震解析 / 高性能計算 / 地盤振動解析 / 構造物地震応答解析
研究概要

流体力による破壊現象を追うことのできる高詳細な津波解析を行うには, 構造物の構造特性を高精度で津波解析に入力することが重要となる. 地震時に構造物が損傷を受けると, 構造特性も低下すると考えられる. そこで, 平成25年度は, 物理モデルベースの解析手法に基づいた地震シミュレーションにより, 地震時の構造物地震被害想定の高度化に取り組んできた. 物理モデルベースの地震被害想定手法では, 地殻や地盤, 構造物の「地理情報データ」と波動方程式などの物理モデルを解析する「解析手法」を組み合わせて地殻・地盤・構造物の特性を反映した構造物群の被害想定が行われている. このような従来の物理モデルベースの地震被害想定手法では, 1)データの誤差などによる解析の入力の不確かさを想定結果に反映できない, 及び, 2)地盤振動解析に1次元の解析手法が使われているなど解析手法の信頼性が必ずしも高くない, という2つの課題がある. そこで, 平成25年度前期は解析モデルの不確かさを解析結果に反映させるための多数回シミュレーション手法を開発し, 平成25年度後期は, 地盤振動解析を1次元手法から3次元手法に高度化した. 1)入力の不確かさの分布が既知のときはこの分布に沿う多数の解析モデルを作成し, それらを計算することで応答の分布を求めることができる. 入力の異なる多数の計算は大規模計算となるので, 本研究ではこれを高性能計算機上で効率良く行う方法を開発した. 開発した手法を京コンピュータ20000ノード上で運用することで, 1時間以内に東京の25万棟の構造物の応答1000ケースを求めることができるようになった. 2)次に, 3次元非線形地盤振動解析を都市地震シミュレーションに組み込んだ. これにより, 1次元の地盤振動解析では求めることができなかった地盤の3次元効果や, 地盤特性を踏まえた構造物応答を求めることができるようになった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は3次元地盤形状が構造物応答に与える影響や, 構造物データの不確実性の地震想定への反映など, 従来の経験的手法や簡易手法では求めることが難しかった詳細な都市の被害想定に資すると考えられる. この成果は, 以下に述べる論文等に掲載されており, 順調に進展している. 一方で, 都市域の詳細な津波解析の実現には, 流体・固体連成解析手法のさらなる研究が必要となっている.

今後の研究の推進方策

平成26年度は, 平成25年度に開発した多数回シミュレーション手法と3次元地盤振動解析手法を組み合わせ, これを広域の都市地震被害想定に適用する計画である. 都市地震シミュレーションを広域に適用するには, 京コンピュータなどの高性能計算機の多くの割合を使った大規模計算が必要となる. そこで, 地盤振動解析・構造物応答解析プログラムの効率化と高速化を行う予定である. また, 上記のような都市の構造物一軒一軒を計算する詳細な地震被害想定では、大量の出力が得られるため, 結果の可視化が課題となっている. そこで, 構造物応答のデータ特性と可視化を行う計算機のハードウェア特性に適した効率的な可視化方法を開発する予定である. また, 平成25年度に引き続き流体・固体連成解析手法の開発に取り組む計画である.

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (7件)

  • [雑誌論文] Three-Dimensional Nonlinear Seismic Ground Response Analysis of Local Site Effects for Estimating Seismic Behavior of Buried Pipelines2014

    • 著者名/発表者名
      Tsuyoshi Ichimura, Kohei Fujita, Muneo Hori, Takashi Sakanoue, Ryo Hamanaka
    • 雑誌名

      Journal of Pressure Vessel Technology

      巻: Vol. 136, No. 4 ページ: 041702-1-041702-8

    • DOI

      10.1115/1.4026208

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 都市の高分解能な地震被害想定の高速化のための基礎的研究2013

    • 著者名/発表者名
      藤田航平, 市村強, 堀宗朗, M. L. L. Wijerathne, 田中聖三
    • 雑誌名

      土木学会論文集A1(構造・地震工学)

      巻: Vol.69,No.4 ページ: I.703-I.713

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 多数の地震シナリオに対する高分解能な都市震災想定のためのHPCによる基礎検討2013

    • 著者名/発表者名
      藤田航平, 市村強, 堀宗朗, M. L. L. Wijerathne, 田中聖三
    • 雑誌名

      土木学会論文集A2(応用力学)

      巻: Vol.69, No.2 ページ: I.415-I.424

    • 査読あり
  • [学会発表] Basic Study Towards Earthquake Disaster Estimation of Cities by 3DWave Propagation Analysis and Structural Response Analysis2013

    • 著者名/発表者名
      Kohei Fujita, Tsuyoshi Ichimura, Muneo Hori, Lalith Wijerathne and Seizo Tanaka
    • 学会等名
      5TH ASIA PACIFIC CONGRESS ON COMPUTATIONAL MECHANICS & 4TH INTERNATIONAL SYMPOSIUM ON COMPUTATIONAL MECHANICS
    • 発表場所
      InterContinental Singapore (Singapore)
    • 年月日
      20131211-14
  • [学会発表] 都市震災想定の包括的シミュレーションに向けた研究2013

    • 著者名/発表者名
      本間俊介, 藤田航平, 市村強, 堀宗朗, Seckin Citak, 堀高峰
    • 学会等名
      日本地震工学会年次大会-2013
    • 発表場所
      国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区)
    • 年月日
      20131111-12
  • [学会発表] 広域震災シミュレーションの可視化に関する基礎検討2013

    • 著者名/発表者名
      藤田航平, 廣瀬壮一, 市村強, 堀宗朗, 盛川仁, 山中浩明, 坂田弘安, 山田哲
    • 学会等名
      日本地震工学会年次大会-2013
    • 発表場所
      国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区)
    • 年月日
      20131111-12
  • [学会発表] 断層-都市系を考慮した統合地震シミュレータに関する基礎的研究2013

    • 著者名/発表者名
      本間俊介, 藤田航平, 市村強, 堀宗朗, Seckin Citak, 堀高峰
    • 学会等名
      第33 回土木学会地震工学研究発表会
    • 発表場所
      東京大学生産技術研究所(東京都目黒区)
    • 年月日
      20131024-25
  • [学会発表] 複雑な表層地盤構造を有するサイトを対象とした観測地震動の再現シミュレーション2013

    • 著者名/発表者名
      坂上貴士, 藤田航平, 市村強, 堀宗朗, 濱中亮, 末冨岩雄
    • 学会等名
      土木学会第68 回年次学術講演会
    • 発表場所
      日本大学生産工学部津田沼キャンパス(千葉県習志野市)
    • 年月日
      20130904-06
  • [学会発表] 多数の地震シナリオに対する高分解能震災想定手法の開発2013

    • 著者名/発表者名
      藤田航平, 市村強, 堀宗朗, M. L. L. Wijerathne, 田中聖三
    • 学会等名
      土木学会第68 回年次学術講演会
    • 発表場所
      日本大学生産工学部津田沼キャンパス(千葉県習志野市)
    • 年月日
      20130904-06
  • [学会発表] 多数の地震シナリオに対する高分解能な地震被害想定を求めるための基礎検討2013

    • 著者名/発表者名
      藤田航平, 市村強, 堀宗朗, M. L. L. Wijerathne, 田中聖三
    • 学会等名
      第18回 計算工学講演会
    • 発表場所
      東京大学生産技術研究所(東京都目黒区)
    • 年月日
      20130619-21

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公開日: 2015-07-15  

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