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2012 年度 実績報告書

GLUTag細胞におけるGLP-1分泌制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 12J08221
研究機関東京大学

研究代表者

大屋 愛実  東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)

キーワードGLP-1 / グルタミン / 一酸化窒素 / 一酸化窒素合成酵素 / グアニル酸シクラーゼ / アミノ酸受容体 / 代謝系 / アミノ酸
研究概要

グルカゴン様ペプチド-1(glucagon-like peptide-1 ; GLP-1)は、摂食による管腔内の糖、脂質、アミノ酸などの栄養素の濃度変化に応答して、小腸内分泌L細胞から分泌される。糖、脂質によるGLP-1分泌機構は明らかにされてきたが、アミノ酸によるGLP-1分泌制御機構については、未だ不明な点が多い。現在アミノ酸の中でもグルタミンが最もGLP-1分泌を促進するアミノ酸であることが報告されている(Tolhurst G. et.al., Endocrinology. (2011) 152,405-413)。そこで本申請課題では、グルタミン依存性GLP-1分泌機構の解明を目的とした。
まず、我々はアミノ酸受容体や代謝系の関与の検証を行った。それぞれの経路の阻害剤をグルタミンと同時に投与すると、グルタミン依存的な細胞内カルシウム濃度の上昇率は減少したが、完全には阻害されなかった。この結果はアミノ酸受容体や代謝系を介したものとは別の経路がグルタミン依存性GLP-1分泌に関与していることが示唆された。
グルタミンは細胞内に取り込まれることで代謝されたのちアルギニンに変換され、一酸化窒素合成酵素の働きにより一酸化窒素(NO)が産生される。産生されたNOは可溶性グアニル酸シクラーゼを活性化し、GTPからサイクリックGMPを産生する。サイクリックGMPはサイクリックヌクレオチド感受性(CNG)チャネルを活性化し、細胞内カルシウム濃度が上昇することでGLP-1が分泌されると考えられる。
まず初めに、GLUTag細胞における一酸化窒素合成酵素(NOS)、可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)及びCNGチャネルの発現をRT-PCRにより検証した。その結果、NOS1,3、sGCα2,3,β2、及びCNGα3,β1が発現していることが明らかとなった。また、蛍光イメージングの結果、グルタミン投与により細胞内一酸化窒素濃度及びカルシウム濃度が上昇することが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

採用第1年度である平成24年度には、アミノ酸の一つであるオルニチンがアミノ酸受容体GPRC6Aを介してGLP-1分泌を促進することを解明し、原著論文として発表した(Manami O. et. al., J Biol Chem.(2013))。また、グルタミン依存的なGLP-1分泌促進経路に一酸化窒素が関与している可能性を明らかにした。

今後の研究の推進方策

これまでに得られた結果からグルタミン投与により細胞内一酸化窒素濃度およびカルシウム濃度が上昇することが明らかとなり、一酸化窒素がGLP-1分泌の引き金となっている可能性が示唆された。今後は、全反射蛍光顕微鏡による、GLP-1分泌の可視化解析とELISAによるGLP-1分泌量の定量解析により、グルタミン投与によって一酸化窒素の経路を介したGLP-1分泌が起こっているかを検証していく予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] The GPRC6A receptor is involved in amino acid-induced glucagon-like peptide-1 secretion from GLUTag cells.2013

    • 著者名/発表者名
      Manami Oya
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry

      巻: 288 ページ: 4513-4521

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Extracellular calcium influx activates adenylate cyclase 1 and potentiates insulin secretion in MIN6 cells.2013

    • 著者名/発表者名
      Tetsuya Kitaguchi
    • 雑誌名

      Biochemical Journal

      巻: 450 ページ: 365-373

    • 査読あり
  • [学会発表] 小腸内分泌細胞GLUTag細胞におけるグルタミン依存性GLP-1分泌機構の解明2013

    • 著者名/発表者名
      大屋 愛実
    • 学会等名
      第90回日本生理学会大会
    • 発表場所
      タワーホール船堀
    • 年月日
      2013-03-28
  • [学会発表] Elucidation of amino acids-induced GLP-1 secretion from small intestinal L cells2013

    • 著者名/発表者名
      大屋 愛実
    • 学会等名
      第五回HOPEミーティング
    • 発表場所
      新高輪プリンスホテル
    • 年月日
      2013-02-26
  • [学会発表] 小腸内分泌L細胞におけるアミノ酸依存性GLP-1分泌機構の解析2013

    • 著者名/発表者名
      大屋 愛実
    • 学会等名
      Vivid Workshop 2012
    • 発表場所
      石川山代温泉旅館 瑠璃光
    • 年月日
      2013-02-21
  • [学会発表] Elucidation of amino acid-induced GLP-1 secretion from enteroendocrine L cells2012

    • 著者名/発表者名
      大屋 愛実
    • 学会等名
      第35回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      福岡国際会議場
    • 年月日
      2012-12-12
  • [学会発表] アストロサイトにおけるATP分泌機構の解析2012

    • 著者名/発表者名
      大屋 愛実
    • 学会等名
      平成24年度生理研研究会『神経シナプス伝達の時空間ダイナミクス』
    • 発表場所
      自然科学研究機構 生理学研究所
    • 年月日
      2012-11-28

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公開日: 2014-07-16  

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