研究課題/領域番号 |
12J08258
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岡 大地 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | ペロブスカイト / 酸窒化物 / 強誘電性 / エピタキシャル薄膜 |
研究概要 |
今年度は昨年度から継続してペロブスカイト型酸窒化物(ABO_2N)系を対象に窒素プラズマ支援パルスレーザー堆積(NPA-PLD)法によるエピタキシャル薄膜の合成および物性評価を行った。 昨年度までの研究において強誘電性的挙動を示すことを見出したSrTaO_2Nエピタキシャル薄膜に関しては、強誘電性―常誘電性転移温度(キュリー点)の観察に成功した。手法としては高温X線回折を用いて格子定数の温度依存性を測定した。600K付近において明確な構造相転移を観察され、SrTaO2Nエピタキシャル薄膜の強誘電性の実証に向けて大きく前進した。 SrTaO_2Nと同じTa系ペロブスカイト型酸窒化物であるCaTaO_2Nのエピタキシャル薄膜の合成、および物性評価にも着手した。改善された基板との格子整合によりコヒーレント成長し、構造欠陥の少ない高品質な薄膜の作成に成功した。結果、正確な誘電物性測定が可能となった。この成果は本研究で独自に採用している窒素プラズマアシストパルスレーザー堆積法を用いて合成した酸窒化物エピタキシャル薄膜が従来困難であった物性評価を可能にするほどの高品質を持つことを示したという点で重要である。また、この結果に基づきSrTaO_2N-CaTaO_2Nとの混晶よる窒素配列制御の指針を得ることができた。さらにTa系誘電体材料の下部電極材料探索の一環として導電性SrNbO_N_yy系エピタキシャル薄膜の合成と評価を行った。酸化物SrNbO3はKTaO3基板の格子に対しコヒーレントに成長し、室温において約2×10^-5Ωcmという低抵抗率を実現した。この値は過去の報告例と比べ一桁小さい値である。また、d^0状態であるはずのSrNbO_2N組成であっても約1×10^-3Ωcmの比較的低い抵抗率を示すことが分かった。これらの結果はこの材料系が電極材料として有望であることを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
広範な物質探索の結果、アニオン配列の人工制御に向けた明確な指針が確立できたため。
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今後の研究の推進方策 |
SrTaO_2N薄膜の研究において基板からのストレスがアニオン配列制御に有用であることが分かっていたが、基板との格子不整合によりストレスをコントロールする手段に欠いていた。今年度の成果によってCaTaO_2Nが基板とのよい整合性を示して薄膜成長することが分かったので、次年度ではSrTaO_2N-CaTaO_2N混晶系を作成し、アニオン配列の人工制御に取り組む予定である。
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