(1)SF6ガス中アークの遮断成否現象 本研究では、SF6ガス吹付けアークを対象に、シャックハルトマン型レーザ波面測定装置を用いて電流ゼロ点における電子密度計測を行った。これにより、電子密度分布の違いが遮断の成否確率に及ぼす影響を検討し、遮断の成否に対する2次元電子密度分布を特定した。 電流ゼロ点における電子密度分布を2つのカテゴリに分類した。1つ目は、カソード近傍の厚さ05㎜の領域で電子密度が本装置の最小検出搬~10^<21>m^-3を下回っており、見かけ上電子密度の軸方向分布が途切れているように見える場合。2つ目は、電子密度がギャップ間の全域にわたって~1021m-3以上となっている場合である。電子密度が不連続に見える場合、遮断成功率は100%であった。一方、電子密度がギャップ間の全域にわたって~10^<21>m^-3以上となっている場合には遮断性能は著しく低下し、遮断成功率はわずかに12%、遮断失敗率は88%と非常に高くなっていた。以上の結果により、高い遮断性能を得るためには、局所的な電子密度を集中的に低下させる必要があることを示した。 (2)真空アーク内の2次元電子密度分布および2次元中性粒子密度分布測定 絶縁破壊時の電子密度は3~6×10^<22>m^-3、中性粒子密度は4~6×1023m^-3、銅蒸気の電離度は5~15%程度であった。また絶縁破壊後50μsにおいては、電子密度および中性粒子密度は双方とも絶縁破壊時の場合に比べて著しく低下しており、ギャップ間の電子密度は局所的に7×1020m^-3にまで減少していた。また中性粒子密度もギャップ中心付近においては検出できない程度にまで低下しており、電極近傍においてのみ0.6~3×10^<22>m^-3の中性粒子密度が測定された。
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