本年度は、媒質中のQCD和則ついての研究を行った。昨年度までの研究をより一般の場合、特に有限温度、有限密度の場合に拡張し、その拡張した和則の現象論的応用を行った。これまでに得られた成果を論文にまとめているところであり、今後、論文を投稿する予定である。 また、交付申請書に記載されていない研究をいくつか行い、成果を論文にまとめて発表した。南部-ゴールドストーンボソンの一般論についての研究を行い、論文を2件投稿した。これらについてはすでに出版されている。一つ目の論文では、有限温度、有限密度中での、南部-ゴールドストーンボソンの分散の計算、特に分散の虚部の振る舞いを解析し、有限温度媒質中での南部-ゴールドストーンボソンの長波長での振る舞いを一般的に議論した。もう一つの論文では、時空対称性を含むより一般の場合についての弾性変数の数勘定の定理を議論した。また、強い電場中でのシュウィンガー効果についての論文を1件投稿した。これもすでに出版されている。確率過程量子化に基づくシュウィンガー効果の解析方法を構成し、簡単な例を用いて構成した方法が実際にうまく使えることを実演した。今後、構成した方法を用いて、重イオン衝突や物性実験を解析する研究を行う予定である。 他にも、非一様な閉じこめ相転移や、複素ランジュバン法を用いた量子渦の生成の第一原理的計算、さらに、相対論的流体力学の場の量子論からの導出に関する研究など3件を論文として投稿した。
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