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2012 年度 実績報告書

意識にのぼらない視覚刺激が行動に及ぼす影響に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 12J08325
研究機関東京大学

研究代表者

上田 大志  東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)

キーワード知覚 / 視覚 / 運動 / 眼球運動
研究概要

本年度は、研究テーマの「意識にのぼらない視覚刺激が行動に及ぼす影響に関する研究」を実現するため、まず実験系(運動計測装置、視覚刺激提示プログラミング等)の確立を行った。実験は、「あらかじめ注視している固視点を数百ミリ秒前に消すことにより、周辺視野の新たな位置に呈示されるターゲット刺激への眼球運動、手の運動反応が速くなる」とされている、ギャップ効果と呼ばれる現象を使って行った。意識にのぼらない視覚刺激は、両眼視野闘争と呼ばれる異なる視覚刺激を片眼ずつ呈示することによって片眼側の視覚刺激のみ知覚されようになる現象を利用し、「見えないのに存在する」視覚刺激をつくった。実験の結果、見えていない固視点であっても物理的に維持されることにより眼球運動のギャップ効果の抑制、すなわち反応時間に遅れが見られた。一方、手の運動ではこれら見えない刺激による影響が見られなかった。また「見えていないのに実際にはあるもの」に合わせ、「見えていないのにあると思うもの」による運動への影響も調べた。視覚刺激は、対象物が別のものの背後等に隠れている際に、実際には見えていないにも関わらず、あたかもまだ遮蔽物の背後に存在していると感じる、アモーダル補完と呼ばれる現象を使って行った。結果、アモーダル補完によって表現されている固視点は、眼球運動のギャップ効果を半減、手の運動のギャップ効果を消失させることを明らかにした。このことは一つ目の結果と合わせて、両眼視野闘争によって抑制された意識にのぼらない視覚刺激によるギャップ効果への影響が、運動の種類(眼球運動、手の運動)によって異なることを示唆している。これらの結果は、国内学会(日本基礎心理学会)、国際学会(Association for the Scientific Study of Consciousness)で発表し、海外学術雑誌(Vision Research)へ投稿し採択された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究、成果(国内外学会発表、論文採択)ともに当初の研究計画通り進んでいるため。

今後の研究の推進方策

これまでのギャップ効果を用いた研究で成果が得られているため、今後の研究についてもこのギャップ効果を用いて研究テーマの「意識にのぼらない視覚刺激が行動に及ぼす影響に関する研究」を進めていく。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Contributions of retjnal input and phenolenal representation of a flxation object to the saccadic gap effect2013

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Ueda, Kohske Takahashi, Katsumi Watanabe
    • 雑誌名

      Vision Research

      巻: 82 ページ: 42-57

    • DOI

      10.1016/j.visres.2013.02.008

    • 査読あり
  • [学会発表] 固視点の主観的・物理的消失によるギャップ効果への影響2012

    • 著者名/発表者名
      上田大志,高橋康介,渡邊克巳
    • 学会等名
      日本基礎心理学会第31回大会
    • 発表場所
      九州大学・福岡
    • 年月日
      2012-11-04
  • [学会発表] Perceptual, rather than physical, disappearance of a fixation point determines the magnitude of the gap effect2012

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Ueda. Kohske Takahashi. Katsuni Watanabe
    • 学会等名
      The 16th Annual Meeting of the Association for the Scientific Study of Consciousness
    • 発表場所
      Brighton, UK
    • 年月日
      2012-07-04

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公開日: 2014-07-16  

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