研究課題/領域番号 |
12J08344
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
大平 豊 青山学院大学, 理工学部, 特別研究員(PD)
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キーワード | 超新星残骸 / 衝撃波 / プラズマ / 粒子加速 / 宇宙線 |
研究概要 |
超新星残骸は銀河宇宙線の源として最有力天体である。宇宙線の加速過程とそれに必要な磁場についてはまだわかっていない。これまでの研究は、完全電離プラズマを仮定したが、超新星残骸からはHαも観測されており、その周りが完全電離でない事がわかっている。 初年度は、衝撃波上流の中性粒子の一部が衝撃波下流から上流に向かってしみ出す事に気づき、それについて重点的に研究を行った。衝撃波上流の中性粒子は、無衝突衝撃波で減速・散逸を経験することなく衝撃波下流へ侵入し、下流でイオン化する。以下の事を明らかにし、論文にした。 1衝撃波上流の中性粒子の数の約10%が、衝撃波下流から上流へしみ出す。 2しみ出した中性粒子は、衝撃波上流でイオン化しピックアップイオンとなり、磁場の増幅や粒子加速の注入に重要な粒子になる。 3しみ出した中性粒子の影響で、衝撃波遷移層の厚みがジャイロ半径の10^9cmスケールからイオン化の空間スケール10^<15>cmへと5桁も大きくなる。 4変形した衝撃波構造中で衝撃波加速が起きると、これまで考えられてきたよりもソフトなエネルギースペクトルをもつ宇宙線を作る事ができ、観測を説明できる。 上記で記した事は、電離度がそれほど低くない(約半分以上がイオン)という近似を用いて解析的に示した。電離度がより低い場合を調べるため、初年度後期ではイオン化を取り入れたプラズマ粒子シミュレーションコードの開発を行い、完成に至った。これからスーパーコンピュータを用いて計算を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
計画していた電離過程を取り入れたプラズマ粒子シミュレーションコードの開発は予定通り完成した。それに付け加え、上流の中性粒子の一部が衝撃波下流から上流に向かってしみ出すこと、しみ出した粒子が衝撃波や粒子加速、磁場増幅に重要であることを明らかにした。また、衝撃波下流で期待される乱流による新しい粒子加速機構を発見し、その重要性も明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
計画通りに昨年度開発した計算コードを用いて、部分電離プラズマ中の衝撃波構造とそこでの粒子加速と磁場増幅機構を調べる。ただし、現在の計算コードではマッハ数が20程度までしか正確に計算できない。本研究の対象としている超新星残骸では、爆発直後はマッハ数が100を超えるので、マッハ数が100を超えても正確に計算できるコードを開発する必要がある。計算コードのどこが悪いかは解明済みであり、その対処法も別の分野では提案されているので、それを適応する予定である。
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