研究概要 |
振動を利用したトレーニングが、低体力者への導入やリハビリテーション用の運動として欧米諸国を中心に普及している。しかし、振動を利用したトレーニングには、科学的根拠に基づいたプログラムは未だ存在せず、その運動効果は一致した見解に至っていない。また、振動利用の有無、それぞれの条件で同一運動プログラムを行ったとき、振動によって上乗せされる運動効果は明らかではない。 本年度は、振動を利用したトレーニングによって得られる筋力、筋パワー、および柔軟性への効果に関するシステマティックレビューを行った。メタアナリシスの結果、振動を利用した場合、振動なしと比較して膝伸展筋力(standardized mean difference[SMD]=0.74, 95% confidence interval[CI]=0.25-1.22 ; p<0.001)および垂直跳び高(SMD=0.87, 95% CI=0.29-1.46 ; p=0.003)に対して有意に高い効果を認めた。また、柔軟性への効果を検討したメタアナリシスの結果では、振動を付加した運動前後で比較すると、有意に柔軟性が向上し(SMD=0.79, 95% CI=-1.14--0.43 ; p<0.001)、さらに運動内容をストレッチングに限定すると効果量がより大きくなる傾向を示した。これらのメタアナリシスの結果および既報から、振動を利用したトレーニング種目として静的ストレッチングを用いることで、振動によって運動効果が高まることが示唆された。また、採用第2年度目以降に行う介入研究で測定予定の骨格筋の質を評価する指標として、既報にある超音波エコー強度の多寡と運動機能および身体活動との関連性について高齢者を対象に検討した結果、エコー強度と運動機能との間に有意な関連を認めた。
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